ルピタ・ニョンゴ、縮れ毛を消され抗議 女性誌表紙で

ルピタ・ニョンゴ、縮れ毛を消され抗議 女性誌表紙で

https://www.cinematoday.jp/news/N0096071






縮れ毛は削除… - 画像はルピタ・ニョンゴInstagramのスクリーンショット

 映画『それでも夜は明ける』のオスカー女優のルピタ・ニョンゴが、女性誌「Grazia UK」の表紙を飾ったものの、画像加工で縮れ毛のポニーテールを消されたとして抗議の声を上げた。

【画像】美しい…真珠のドレスを着たルピタ・ニョンゴ

 加工前と加工後の画像をInstagramに載せたルピタは「成長するにつれ、薄い色の肌、真っすぐでつややかな髪が美しさのスタンダードなのだと考えるようになりましたが、わたしは先祖から受け継いできたものを大切に思っており、今はわたしのダークな肌も縮れた髪の毛も同様に美しいのだと知っています」とコメント。自分が雑誌の表紙を飾ることで、そのことを同じ縮れ毛の人々、特に子供たちに伝えられたらと思っていたという。

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 それだけに今回の修正には「わたしの髪を“彼らが美しい髪だと思うもの”に合わせるために、消し、滑らかにしたことにがっかりしています」と失望の気持ちが大きかったよう。「黒人女性の肌の色、ヘアスタイル、質感に対する無意識の偏見をなくすには、まだまだ長い道のりがあります」と訴えた。

 「Grazia UK」はこれを受けすぐに謝罪。修正は編集部の判断ではなかったと釈明している。(朝倉健人)

ルピタ・ニョンゴが共演者と語る、映画『ブラックパンサー』と新しいスーパーヒーロー像について。

ルピタ・ニョンゴが共演者と語る、映画『ブラックパンサー』と新しいスーパーヒーロー像について。

ハリウッド映画史上初めての黒人キャストによる、黒人スーパーヒーロー映画『ブラックパンサー』(18)が日本でも公開中。その主演女優を務めるルピタ・ニョンゴの魅力に迫るとともに、ルピタと同映画で共演した若手女優のレティーシャ・ライトが、作品の意義について対談した。

          

          

 

快進撃を続けるルピタが愛される理由。
Photo: Mikael Jansson
ルピタ・ニョンゴはイェール大学大学院時代に、後にアカデミー賞の助演女優賞をもたらす映画『それでも夜は明ける』(13)のパッツィー役を得て、14年に同賞を受賞。賞レースで見せた鮮やかなファッションセンスも話題の的となり、一躍スターの座に。その後も超話題作『スター・ウォーズ』シリーズ(15)・(17)に出演し、16年にはブロードウェイデビュー作『Eclipsed(原題)』で演劇界のアカデミー賞の異名をとるトニー賞で主演女優賞にノミネートされている。デビューからわずか4年でハリウッドを席巻してしまった彼女だが、次作『ブラックパンサー』(18)は、これまで以上の注目を集めている。というのも、本作はコミック史上初のスーパーパワーを持つ黒人キャラクターという、歴史的にも重要な意味を持つ作品だから。
Photo: Getty Images
今作でルピタが演じるのは、超文明国ワカンダの国王でありヒーローでもあるブラックパンサーの親衛隊ナキア。ライブアクションも大きな見どころのため、彼女は撮影がクランクインする前に週6日、1日4時間の猛特訓を6週間にわたって行っていた。その姿勢からもわかるように、彼女を語るとき、誰もが真面目でチャーミングだと表現するが、その魅力につけこむ人もいた。
Photo: Getty Images
ルピタは昨年の10月にハリウッドを騒がせているハーヴェィ・ワインスタインのセクハラ騒動について『ニューヨーク・タイムズ』紙に寄稿している。美しい文体で、だけどしっかりと鋭い口調で自身が体験した悪夢を告発。その告発文によると、ワインスタインに何度もウォッカを飲むよう強要されたり関係を迫られたりし、断るたびに彼は「君は頑固だ」と皮肉ったと言う。しかし、その「意志の強さ」こそ、彼女が愛される理由なのだ。

当然ながら人種差別を理解し、実父は過去にケニアで拷問を受けた後、メキシコへ政治亡命を余儀なくされるという苦難も経験(ルピタはそのときに誕生)。人の痛みを知っているからこそ、強くなれるのだ。そんな彼女の良心は14年のアカデミー賞の受賞スピーチによく表れている。「私の今の喜びは、誰かの人生の痛みの上にあることを、私は一時も忘れることはできません」
黒人ヒーローが意味するものとは。
Photo: Mikael Jansson
1966年にメジャーなアメリカンコミック初の黒人スーパーヒーローとして世に出たとき、『ブラックパンサー』はさまざまな境界を突破した。当然のことながら、ほぼオール黒人キャストによる映画版『ブラックパンサー』は、単に興行的に大ヒット間違いなしというだけではなく、映画界に新たな歴史を刻むことになるはずだ。同映画の舞台となるのは架空のアフリカ国家ワカンダであり、ブラックパンサー(別名ティチャラ)は国家の安全が脅かされたときにリーダーの役割を果たすことになる。そして、物語の中心でオスカー女優ルピタ・ニョンゴと清純派女優レティーシャ・ライトが演じるのが、ナキアとシュリというワカンダ最強の女たちだ。二人の貴重な対談をお届けする。

ーーレティーシャ・ライト(以下LW) ルピタ、あなたはなぜこの役に魅力を感じたの? 『ブラックパンサー』のキャラクターについてはよく知っていた?

ルピタ・ニョンゴ(以下LN) 年長者優先よ、レティーシャ。まず、若いあなたから話して(笑)。
Photo: Mikael Jansson
ーーLW 私は『ブラックパンサー』のこと(キャスティングされる前)は何も知らなかった。知っていたのは、それがアフリカ出身の黒人スーパーヒーローの物語だということだけ。オーディションのことを聞いてキャラクターについての模擬脚本を読んだら、シュリの知的なところが気に入ったの。ティーンエイジャーだけど、年齢は彼女という人間を規定していない。私は直感的に(シュリは)何か大切なメッセージを心に秘めてるんだって気づいたの。あなたはこの映画のことをどう知ったの?

LN 2年くらい前に『ブラックパンサー』のことが発表されたとき、チャドウィック(ボーズマン)がすでにティチャラを演じることが決まっていて、私はこう思ったの。「おっ、これはきっとすごい映画になるぞ」って。だから、ライアン・クーグラー監督からこの作品に参加しないかというお話があったときは、ものすごくうれしかった。監督からこの物語のアイデアについて一つ一つ説明をしてもらい、それを聞き終えたときには「ちょっと待って、これ本当にマーベル映画?」って思っちゃったわ。この作品には今の社会や政治に通じるものがある。私が演じたナキアは、コミックで目にするキャラクターとはかけ離れていたわ。ナキアは独立心旺盛な女性で、強い愛国心の持ち主だけれど、社会にもすごく疑問を抱いていて、そこが気に入ったの。
 Photo: Amy Troost
ーーLW (シュリを)演じるのはとても爽快だった。とても強いし、相手をやっつけられるから。彼女は知的で、ワカンダを愛していて、自分の同胞を守るための技術を開発するのが大好きなの。シュリは私が家に帰ってから、彼女がしたさまざまなことの理由をじっくり考えたくなるようなキャラクターだった。

LN ナキアはこれまでブラックパンサーとの間にいろいろあった人物で、生まれながらの戦士なの。二人の活躍に期待してね。本当に胸がすくようなコンビネーションが見られるから。この映画に出演したことで、私の意識は変化したわ。大きな挑戦をしたと実感することができた。
映画でしか表現できない多様性に期待を。
Photo: Amy Troost
ーーLW 私は『ブラックパンサー』がしようとしていることに興奮しているわ。黒人の若者たちだけではない、すべての人々に対してね。まず黒人のヒーローが登場すれば、今度はアジア人やインド人のヒーローが出てくるようになるわ。アイデンティティの問題への打開策になる。現状は白人以外のヒーローが不足しているから、これからどんどん誕生させるのよ。すごくワクワクするわ!

LN ケニアではメキシコのドラマ、オーストラリアのドラマ、アメリカのドラマを見て育ったわ。テレビに多様性があるとは感じなかったけれど、そういうものと思って淡々と受けとめていたの。今回の作品の本当にワクワクする点は、もし私が自分と似ていない外見で、自分とは異なる文化を持つ人々に感情移入できるなら、その逆だって可能なはずでしょう。今私たちが言っているのはこの『ブラックパンサー』という映画の卓越性と、それがどんなふうにメインストリームの文化的意識に入っていくかについてよ。

スーパーヒーロー映画は現代の民話であり、民話はとても重要だわ。それは人々に一体感を与えるから。映画の素晴らしさは人々が抱えているあらゆる不信感を一時的に棚上げし、みんなが一つの部屋で別世界の体験を共有することよ。その間、そこにいる人々は一つになって、同じことを体験するの。それは共同体意識を強化するわ。このような巨大予算の大ヒットヒーロー映画が人々の分断が深まっているこのようなときに作られるということは、私たち全員が共通の理解を持つようになる貴重なチャンスなんじゃないかしら。
Lupita Nyong’o
ルピタ・ニョンゴ/1983年ケニア人の両親のもと、メキシコで生まれる。米ハンプシャー大学を卒業した後、イェール大学演劇大学院で演技を学び12年に卒業。翌年の13年に長編映画初出演作『それでも夜は明ける』(13)でアカデミー賞助演女優賞を獲得しトップ女優に。「スター・ウォーズ」シリーズなど話題作に次々と出演。最新作『ブラックパンサー』(18)が公開された。

「世界で最も美しい人」ケニア育ちの女優、ルピタ・ニョンゴってどんな人?

NEWS
2014年04月25日 01時04分 JST

「世界で最も美しい人」ケニア育ちの女優、ルピタ・ニョンゴってどんな人?

https://www.huffingtonpost.jp/2014/04/23/lupita-nyongo-people-most-beautiful_n_5202817.html



Liat Kornowski The Huffington Post

女優のルピタ・ニョンゴが、『ピープル』誌の「Most Beautiful 2014」(世界で最も美しい人)に選ばれた。

ジェニファー・ローレンスジュリア・ロバーツジュリアナ・マルグリーズなど、豪華な顔ぶれを押さえての選出だ。

ピープル誌の表紙を飾る毎年恒例の「Most Beautiful」は、4月23日にテレビ番組「TODAY」の中で発表された。

31歳のニョンゴは、ケニア政府の元大臣を務めたこともある大学教授を父に持ち、メキシコで生まれケニアで育った後、米国の大学を卒業し、イェール大学修士課程(演劇学)を修了している。2014年のアカデミー賞作品賞に輝いた『それでも夜は明ける』で助演女優賞を獲得したことで、一躍有名になった。

ニョンゴは受賞後すぐに、「ランコム」(ロレアル社の高級ブランド)と契約を結んだ。映画祭などのレッドカーペットに登場すれば、必ず「ベストドレッサー」のひとりに挙げられている。

だが、最も印象的なのは、今回の栄誉に対するニョンゴの対応だ。「エキサイティングで、ものすごく大きな賛辞です」。自身が今年の表紙を飾ると聞かされたニョンゴは、ピープル誌にこう語った。「表紙に載った私を見て、まるで自分も注目されるように感じるすべての少女たちのことを、わたしはうれしく思いました」。

ニョンゴはこれまでのスピーチでも、謙虚ながらも感情に強く訴える姿勢を貫いている。アカデミー賞の授賞式では、次のような記憶に残る言葉でスピーチをまとめた。「この金色のオスカー像に目を向けることで、私自身に、そしてすべての子どもたちに、どこの出身であろうと夢はかなうということを思い起こさせてくれますように」。

ニョンゴはまた、『エッセンス』誌が開催する「Black Women in Hollywood」(ハリウッドで活躍する黒人女性)で「ベスト・ブレークスルー演技賞」を獲得し、2014年2月に開催された昼食パーティーで次のようなスピーチを行って聴衆を感動させた

「この機会をお借りして、美しさについてお話ししたいと思います。ブラックビューティー、ダークビューティーについてです。私はある少女から手紙をもらったのですが、その一部を皆さんと共有したいと思うのです。手紙にはこう書いてありました。『親愛なるルピタへ…あなたは、黒い肌を持ちながら、突然ハリウッドでこれほどの成功を収めることができて、本当に幸運だと思います。私はちょうど、自分の肌の色が明るくなるように、(歌手デンシアが売り出して人気になった美白効果を謳うスキンケア商品)”Whitenicious”(ホワイトニシャス)を買おうとしていました。けれども、あなたが世界的に有名になって、私を救ってくれたのです』」

ニョンゴは続けて、「私も、自分が美しくないと感じていた頃を覚えています。テレビをつけても、画面に出てくるのは白い肌ばかり。暗い肌のせいでからかわれたり、いじめられたりしました」と述べ、その後、美しさとは自分のあり方そのものなのだと気がついたと語った。「スクリーンや雑誌に私が出ることで、若い女の子たちが、同じような道のりに導かれることを願っています。外見の美しさに自信を感じながら、さらに内面でも美しくなるという、より深い道を通ることを願っています。内面の美しさに影はないのですから」。

ギャラリーでは、さまざまな機会に撮影されたニョンゴのファッションを紹介している。

Lupita Nyong'o Style

[Liat Kornowski(English) 日本語版:湯本牧子、合原弘子/ガリレオ]

『ブラックパンサー』は歴史的な映画か アメリカ大ヒットから読み解く

『ブラックパンサー』は歴史的な映画か アメリカ大ヒットから読み解く

https://www.cinematoday.jp/news/N0098631 


ヒーロー映画としてもダントツに面白い『ブラックパンサー』 - (C) Marvel Studios 2018

 『ブラックパンサー』(3月1日日本公開)が、アメリカで大旋風を巻き起こしている。公開前から成功は予測されていたが、ふたを開けてみると、数々の新記録を作り上げる爆発的ヒットに。批評家の評価も Rotten Tomatoes で97%とヒーロー映画で歴代最高なら、観客の評価もAプラスだ。(Yuki Saruwatari / 猿渡由紀)

【映像】『ブラックパンサー』予告編

 まずは、数字面から、これがどれほどすごいヒットなのかを見てみよう。この週末アメリカは、19日の月曜日がプレジデント・デー(歴代大統領の功績をたたえる祝日)のため、3連休だった。なので、4日間の週末ということになるが、通常、アメリカで映画の公開初週末というと、金、土、日の3日間を指す。この3日で見てみると、『ブラックパンサー』の北米興行成績は2億179万ドル(約240億円)。2月公開作としても、夏より前の公開作としても、史上最高だ。これまで、2月の記録は『デッドプール』の1億3,200万ドル(約145億円)、夏より前の記録は『美女と野獣』の1億7,400万ドル(約191億円)だった。

これはまた、黒人の俳優が主役(チャドウィック・ボーズマン)の映画においても、黒人の監督(ライアン・クーグラー)の映画においても、史上最高のオープニングである。アフリカ系の俳優が主演の映画でこれまでのトップはウィル・スミス主演の『スーサイド・スクワッド』(1億3,400万ドル・約147億円)、監督作品ではF・ゲイリー・グレイ監督作『ワイルド・スピード ICE BREAK』(9,900万ドル・約109億円)だった。(1ドル110円計算)

 『スーサイド~』は主役がスミスとはいえ、ほかは白人が中心。『ワイルド・スピード』のキャストも、さまざまな人種のアンサンブルだ。しかし、『ブラックパンサー』は、主要キャストのほとんどが黒人である。まさしくそれが、今作が単なるヒット映画を超えて、カルチャー現象となっているゆえんだ。メジャースタジオの娯楽アクション大作で、黒人がここまで表に出てくることは、過去になかったこと。また、彼らの描かれ方もポジティブで、ヒーロー物なのにこう言うと変に聞こえるかもしれないが、リアルでもあるのだ。

 物語の舞台は、アフリカにある架空の国ワカンダ。他国からは発展途上国と思われているが、実は想像を絶するテクノロジーを持つ文明国家である(この、“外から見ただけではわからない”というのも、さりげないメッセージのひとつだ)。主人公は、この国の新しい王ティ・チャラ。白人の悪役も出てくるが、彼を最大の危機に陥れるのはマイケル・B・ジョーダン演じるワカンダ出身のキルモンガーで、数々のワカンダの女性たちが、ティ・チャラのために男勝りの戦いっぷりを見せる。これらのキャラクターがスリル満点の話を展開していく中(迫力のアクションは言うまでもない)、映画は、“持つ”国は“持たない”国と分かち合うべきなのか、真のリーダーとは何なのか? といった、現代社会につながる事柄にも触れていくのだ。

 冒頭に出てくるアメリカの街がカリフォルニア州オークランドなのも、偶然ではない。オークランドは、1960年代に、反人種差別、革命的社会主義などをうたうブラックパンサー党が結成された場所でもある。クーグラー監督もオークランド出身で、彼の長編デビュー作『フルートベール駅で』は、その地域を舞台にした、人種差別問題に触れる実話ものだった。公開週末、『ブラックパンサー』上映館の前には、あらゆる街でアフリカの民族衣装ダシキを着たファンが列をなしたが、オークランドでの騒がれ方は、特に大きなニュースになっている。ABCニュースに対し、人種平等と格差解消をうたう非営利団体イースト・オークランド・コレクティブのカーロッタ・ブラウン氏は、「私たちのように見えるスーパーヒーローを、ここオークランドで見られるなんて。まさに歴史的瞬間です」と語った。

 黒人に支持されるセレブも、大絶賛している。コメディアンのケヴィン・ハートは、公開早々に「信じられないくらい良いよ。演技も、ストーリーもだ。絶対観に行くべき」と、音楽プロデューサーのP・ディディも「ボックスオフィスで俺たちのパワーを見せよう!」とツイートした。オクタヴィア・スペンサーは、ミシシッピの生徒たちが無料で見られるよう、何回かの上映を貸切で買い取っている。

 だが、最もパワフルなのは、元ファーストレディーの言葉だろう。4連休最後の19日、ミシェル・オバマ夫人は、「『ブラックパンサー』のチームの皆さん、おめでとうございます。あなたたちのおかげで、若い人たちが、ついに自分たちのようなスーパーヒーローをビッグスクリーンで見ることができました。私は、この映画が大好きです。この映画は、いろいろなバックグラウンドを持つ人々に、それぞれが置かれた状況でヒーローになってみせようという勇気を与えるでしょう」とツイートしたのだ。オバマ夫妻は、最も影響力のある人物の代表。来週末は、これまでヒーロー映画を一度も観たことのない層まで、映画館に駆けつけるかもしれない。


排外主義の空気を感じることばかり ムアンギさん





▼香川)排外主義の空気を感じることばかり ムアンギさん

聞き手・多知川節子

2017年10月17日03時00分

https://www.asahi.com/articles/ASKBB5FDXKBBPLXB01F.html


写真・図版

 四国学院大教授 ゴードン・サイラス・ムアンギさん(70)


 ケニアから京都大に留学したのが1974年。在日40年以上になるが、日本では排外主義の空気を感じることばかりだ。在日コリアンや沖縄の人に、「日本が嫌だったら出ていけ」と言う人がいる。あまりのレベルの低さに言葉がない。

 国民の代表である政治家からも、ヒトラーを容認するかのような発言が出てくる。これが日本の本音、本質だろう。世界中で極右政党が広がっているが、日本も深刻に受け止めるべきだ。そんな人がリーダーとして許されるのか、選挙で議論しなければいけない。

 四国学院大で平和学を教えて



▼ジョン・G・ラッセル『日本人の黒人観 問題は「ちびくろサンボ」だけではない』新評論、1991年


頁41──
 黒人の身体的特徴を誇張する黒人人形などが侮辱的だという訴えに疑問を持っている日本人も少なくない。彼らは、黒人がその作品を嫌がっている理由は、自分の身体的特徴に自信がないからだと思っている(実はこの「黒人自己嫌悪説」は『「ちびくろサンボ」絶版を考える』を担当した編集者から初めて聞いた説である)。長い間、欧米では「黒」は「悪」・「悪魔」・「死」・「病」のシンボルで、否定的な意味が多く、さらに、欧米の美の基準を受け、自分が黒人であることを恥じていた時期が黒人の歴史にあったのは事実である。白人支配のもとで日常的に侮辱され迫害され、白人種が優れた人種であるという思想を強調した白人男子の歴史だけを宣伝する教育を受け、白人だけ(たまに黒人が登場すれば、頭の回転が遅い召使や臆病者という役ばかり)が登場するテレビや映画を見て、そう思い込んだのも当然かもしれない。
 それに対して、アメリカでは「Black is Beautiful──黒は美しい」、アフリカでは「Negritude──アフリカ黒人でることが誇るべき」という自覚、自負運動・意識改革が始まった。その運動についてさまざまな誤解があり、それは黒人による「逆差別」ではないかと思う人もいるので、少し説明しておきたい。それらの運動の目的は白人を迫害し、侮辱することではなく、むしろそれまで白人支配に隠蔽された黒人の文化史、世界文化への貢献を学んで、黒人であることに対する自己嫌悪を捨て、自己を啓発するという簡単なことである。
 「黒人自己嫌悪説」をあげる日本人も、日本の大衆文化を見る限り、白人の美の基準に完全に飲みこまれており、その日本社会こそまだ意識改革に欠けているといえよう。白人の顔つきを憧れの対象とし、眼を大きくし、鼻を高くする手術を受け、褐色の肌を白くするクリームを買う。さらに漫画でさえ白人と全く同様な顔つきの日本人を描き、南アフリカでの「名誉白人」という地位に誇りすら持っている日本人こそ、アジア人であることを自己嫌悪し、白人の思想支配から解放されていない。
 大阪女子大学のゴードン・サイラス・ムアンギ教授が指摘しているように、「日本人は、意識の面ではヨーロッパの奴隷です。第3世界の人たちはヨーロッパの奴隷から離れようとしてがんばっているのに、日本人はそのようなことは考えもしていない。今では白人の方が差別はいけないこと、自分のこととして考えています。イギリス、フランス、アメリカなど、少しは変わってきています。しかし、日本人は明治のままの意識がつづいていて、ヨーロッパにたいして、『やめないでつづけましょう』といっている。日本は思想の面ではどうしようもないのです。私たち非植民地経験のある者には、そのことがすごくわかるのです」(『部落解放』1989年11月第301号、38ページ)。残念ながら、まったくその通りだと思う。


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