10年ぶりの改訂で今月12日に発売された広辞苑の第7版で、性的少数者を意味する「LGBT」の説明に誤りがあることが分かった。発行元の岩波書店は、インターネット上の指摘を受けて修正も検討している。

 LGBTは、性的少数者のうち、女性同性愛者のレズビアン、男性同性愛者のゲイ、両性愛者のバイセクシュアル、生まれた時の体の性別とは異なる生き方をするトランスジェンダーの頭文字をとった言葉。広辞苑には今回新たに盛り込まれ、「多数派とは異なる性的指向をもつ人々」と記された。

 「LGB」は好きになる性を表す「性的指向」の概念だが、「T」は自分は男か女かといった自己認識を表す「性自認」の概念。このため、「多数派とは異なる性的指向をもつ人々」という記述では「LGB」の説明にしかなっていない、とネット上で指摘された。

 岩波書店辞典編集部の担当者は朝日新聞の取材に対し、記述の不正確さを認めたうえで「ご指摘を受け止め、修正を含め対応を検討している」としている。

 今回の改訂にあたっては、岩本健良・金沢大准教授(ジェンダー論)らが昨年11月、岩波書店に対し、「愛」を「男女間の、相手を慕う情」として異性間に限っていた記述など10項目以上の問題点を指摘。第7版では「愛」や「恋」の説明について「男女間」にカッコを入れるなどの見直しがなされた。

 広辞苑にはかつて、同性愛が「異常性欲の一種」と記されていた経緯がある。同性愛者人権擁護団体「動くゲイとレズビアンの会」(現・NPO法人アカー)のメンバーだった永易至文さんによると、同会が1991年5月に見直しを要望し、同年11月発行の第4版から、このくだりが削除された。

 今回、ネット上でLGBTの説明の誤りを指摘したトランスジェンダーの遠藤まめたさんは「広辞苑の記述には権威があり、引用されることが多いので、なるべく早く修正してほしい」と要望。「LGBTという言葉は広がったが正しくは理解されていないという現況を映し出すような出来事だ」と話している。(二階堂友紀)