「内部告発もなくなる」 資料隠ぺい 3等海佐の告白で判明

「内部告発もなくなる」 資料隠ぺい 3等海佐の告白で判明
2013年12月5日 夕刊

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013120502000254.html

 九年前に海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」でのいじめを苦に自殺した一等海士=当時(21)=の母親(59)の手元には、一冊の分厚いファイルがある。自殺をめぐる海自のアンケートだ。海自は当初存在を否定していたが、内部告発がきっかけで明るみに。特定秘密保護法案の審議が国会で進むが、母親は「法が成立すれば内部告発もなくなるのでは」と危機感を募らせる。 (石井紀代美)

 「自衛隊は何も信じられない」。母親は宇都宮市の自宅で、静かに語り始めた。

 二〇〇四年に長男の一等海士が、東京都内の駅で電車に飛び込み自ら命を絶った。遺書には、暴行や恐喝を働いた先輩隊員の名前が記され「紙クズ以下だ」と書かれていた。

 にもかかわらず、海自の調査結果は「借金を苦にした自殺」。納得できない母親は、長男の同僚に話を聞き、海自が実態を把握するため、乗組員にアンケートを行っていたことを知った。

 自殺の翌年、国にアンケートの情報公開を請求したが、回答は「破棄した」。虚偽と判明するまでに、長い月日を要した。

 一一年、国と先輩隊員を相手にした賠償請求訴訟の控訴審が東京高裁で始まった後、一審で国側の代理人を担当した三等海佐(46)が母親側に「海自は事故調査の際に集めた資料を隠している」と申し出てきた。

 アンケートが実際には破棄されていないことを知っていた三等海佐は一審の最中、公益通報制度を活用して、資料隠しを防衛省に通報。しかし、海自は依然として真実を明らかにせず、業を煮やした三等海佐は、裁判の相手方である母親側に真実を告げた。

 三等海佐は母親にこう話した。「このままでは、自衛隊という組織が駄目になる。あくまでも、私たちのためにやるんです」

 母親は「葛藤があったと思う。強い正義感、国民のために仕事をする公務員の責任感に心を打たれた」と振り返る。三等海佐の指摘は法廷で明らかにされ、国はようやくアンケートの存在を認めた。

 国会では、多くの国民の反対にもかかわらず、政府が特定秘密保護法案の採決を急ぐ。法が成立すれば、内部告発者を守るはずの公益通報者保護法が機能しなくなるのではないかという懸念の声が、法曹界などから出ている。

 法案は、秘密を漏えいした公務員に厳罰を科す内容。「どんな不正も秘密に指定されれば、告発しようと思う人はいなくなる」。母親は言葉を連ねた。「国は秘密があいまいな点に付け込み、都合が悪いことは何でも秘密に指定するだろう」

<たちかぜのいじめ訴訟> 海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」の乗組員だった1等海士が自殺したのは先輩のいじめが原因として、遺族が国と先輩隊員に約1億3000万円の損害賠償を求めた訴訟。一審の横浜地裁判決は、いじめと自殺の因果関係は認め、生前に受けた精神的苦痛の慰謝料として440万円の支払いを命じた。しかし死亡への賠償は認めず、遺族は控訴した。

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