イスラエル軍の兵士を平手打ちして暴行罪などで8カ月収監されたパレスチナ人の少女がいる。7月29日に釈放されたアヘド・タミミさん(17)。ヨルダン川西岸ナビサレ村の自宅で30日、朝日新聞の取材に応じ、「イスラエルの占領が終わるまで抵抗を続ける」と語った。

 アヘドさんは昨年12月15日、自宅前で銃で武装したイスラエル兵2人を平手打ちしたり蹴ったりしたとして4日後にイスラエル治安当局に逮捕された。素手で兵士に立ち向かう姿が映った動画がインターネット上で拡散し、パレスチナ人の間で「占領に対する抵抗の象徴」と英雄視された。

 当時、トランプ米大統領がエルサレムイスラエルの首都と宣言した直後で、パレスチナ各地で抗議デモが起きていた。その日、アヘドさんの15歳のいとこが兵士にゴム弾で顔を撃たれて重傷を負った。直後に自宅敷地に入ってきた兵士を見て「気が動転していた」とアヘドさんは言う。

 父で公務員のバセムさん(50)は、イスラエルに対する抗議活動を続け、刑務所に何度も入った。「すぐ近くにユダヤ人入植地があり、土地を奪われてきた。家族や親族、村人が数多く殺傷されてきた」と娘の行動を擁護する。母ナリマンさん(41)によると、アヘドさんは数年前にも弟を拘束しようとした兵士の手をかんだという。「家族を守るための行動」と話す。

 ログイン前の続き国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは事件後、「武装した兵士に少女は素手で向かい、脅威を与えていない」などとして即時釈放を求めた。

 一方、イスラエル側では「意図的な挑発行為」という見方もされ、兵士の自制的な対応の是非が議論された。極右政党の閣僚からは「テロリストに情け深すぎる。兵士をたたくような者には厳正に対応すべきだ」との声もあがる。

 アヘドさんは刑務所内で高校の勉強を終え、卒業試験で高得点をとった。「パレスチナの人々を守るために大学で法律を学び、将来は弁護士になりたい。パレスチナが占領から解放され、平和な世界が訪れるよう闘い続けたい」(ナビサレ村=渡辺丘)