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検察に不利な証拠も開示させるルールを作れ! ~日野町事件の再審開始決定 34年前の強盗殺人事件~

日野町事件 - 再審えん罪事件全国連絡会

http://enzai.9ch.cx/index.php?%E2%97%86%E6%97%A5%E9%87%8E%E7%94%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6

滋賀・日野町事件  

2013/11/17更新

事件の概要

阪原さん.gif

 1984年12月、滋賀県東部の日野町で酒小売店の女店主が殺害され、手提げ金庫が盗まれました。
事件発生から3年後、1988年になって、この店でコップ酒を飲む常連客であった阪原弘さん(当時53歳)が日野警察署に呼び出され、連日のように取り調べを行い、「認めなければ、娘の嫁ぎ先に行ってガタガタにする」「親戚や近所を火の海にしてやる」などと脅しや暴行を加えました。阪原さんは、平常な判断力をなくし、ウソの「自白」をさせられました。警察は、阪原さんが酒代欲しさに、手提げ金庫を脇に置き帳面をつけていた女店主の隙をついて居間に上がり、首を手で絞めて殺害し、死体を車で宅地造成地に遺棄し、その後店内に戻って物色し、手提げ金庫を山に持っていって5万円を奪ったとされました。

裁判の経過

 阪原さんは、裁判では無実を訴えましたが、1995年大津地裁で無期懲役の有罪となり、控訴しましたが、1997年大阪高裁で控訴棄却となり、最高裁で2000年に有罪が確定し、服役を余儀なくされました。
 2001年、阪原さんは日弁連の支援を受け、大津地裁に再審請求を行ないました。

事件の問題点

 この事件では、ウソの「自白」以外に阪原さんと犯行を結びつける客観的な証拠は存在しません。反対に阪原さんには、犯行日当日は知人宅で酒を飲み、そのまま翌朝まで寝たというアリバイがあること、「自白」では首を手を絞めたとされているにもかかわらず、遺体には紐などを使って絞めたという鑑定結果があることなど、「自白」が客観的な証拠と矛盾し、つくられたものであることが明らかになっています。

再審にむけて

 大津地裁は2006年阪原さんの再審請求を不当にも却下し、阪原さんと弁護団は大阪高裁に即時抗告をしました。
阪原さんは、広島刑務所に服役していましたが、2010年から食事が食べられず、免疫力が落ち、体重が34キロにまで落ちて重篤な状態になりました。家族や支援団体は、幾度も治療や刑の執行停止などを要請しました。検察庁は12月に阪原さんの刑の執行停止を決め、外部の病院に入院させましたが、2011年3月18日に亡くなりました。
 阪原さんの死亡によって、大阪高裁で審理中だった第一次再審請求は打ち切りになりましたが、家族が2012年3月30日に大津地裁に対し、第2次再審請求を申し立てました。
 弁護団の請求した証拠開示により、確定判決の有罪の根拠とされた阪原さんが盗んだとされる金庫の投棄現場の引き当たりの検証調書に添付された写真が捏造されたことも判明しました。
 弁護団は引き続きすべての証拠の開示と徹底した事実調べを求めています。



▼『朝日新聞』2018年7月12日「再審決定「夢のよう」」より──


・・・今回の再審請求で明らかになったような被告に有利な新証拠が、確定判決を言い渡した刑事裁判で提出されていたら、異なる判決になっていたかもしれない。弁護団のメンバーは「検察官がしぶしぶ証拠を開示するという積み重ねで今回も何年もかかった。多くの冤罪事件で、証拠開示が課題になっている」と述べる。

 刑事訴訟法が改正され、裁判員裁判などで被告側が求めた場合、検察側に証拠の一覧表の開示が義務づける制度が16年12月から始まっている。しかし、再審では証拠開示に関するルールが整えられていない。

 元東京高裁判事の木谷明弁護士は「再審での証拠開示は、裁判官によって格差がある」と指摘。「今回は裁判官が前向きだったが、裁判官次第では出てくる新証拠は乏しく、再審開始の可能性も低くなる。検察に不利な証拠も開示させるルール作りが必要だ」と話している。




▼日野町事件の再審開始決定 34年前の強盗殺人事件

真田嶺

2018年7月11日14時45分

https://www.asahi.com/articles/ASL757HM2L75PTJB013.html


 滋賀県日野町で1984年、酒店経営の女性(当時69)が殺害された「日野町事件」で、大津地裁(今井輝幸裁判長)は11日、強盗殺人罪で無期懲役が確定し、服役中に病死した阪原弘(ひろむ)元被告(当時75)の再審開始を認める決定を出した。

 事件では84年12月に女性が行方不明になり、85年1月に遺体が町内で見つかった。酒店から持ち去られた金庫も同年4月に町内の山林で発見された。滋賀県警は約3年後の88年3月、常連客の阪原元被告を強盗殺人容疑で逮捕した。

 捜査段階で自白した阪原元被告は公判で一転否認したが、大津地裁無期懲役の判決を言い渡し、2000年に確定。阪原元被告は01年、裁判のやり直しを求め再審請求大津地裁で棄却され、大阪高裁即時抗告審中の11年に死亡した。遺族が12年に2度目の再審請求をしていた。

 第2次再審請求では、阪原元被告が金庫の投棄現場まで捜査員を案内したとする「引き当て捜査」の写真ネガを検察側が開示。現場にたどり着くまでが写真19枚で「再現」された実況見分調書が作られ、自白の信用性を裏付ける証拠とされてきたが、このうち8枚が帰り道で撮られた写真と判明した。

 弁護側は「迷わず現場に案内できたなどとする証拠の信用性が崩れた」とし、自白の信用性もないと主張。これに対し、検察側は「任意に案内できた事実は変わらない」などと反論していた。

 また、弁護団は殺害方法に関する専門医の新たな鑑定書も提出。「自白の方法では遺体の首に生じた圧迫痕などを説明できない」と訴えていた。(真田嶺)




【アーカイブ】日野町事件とは① 2度目の再審請求

2018年1月1日00時00分

https://www.asahi.com/articles/ASL7C51F6L7CUEHF00C.html?iref=pc_extlink


  

【2012年5月28日滋賀県版】

 東日本大震災から1週間後の昨年3月18日、広島市内の病院で一人の男性が、家族にみとられて息を引き取った。

 阪原弘(ひろむ)元被告(当時75)。28年前に日野町で起きた強盗殺人事件で無期懲役が確定し、服役中だったが、肺炎などで体調が悪化したため刑の執行が停止され、一昨年12月から入院中だった。

 裁判のやり直しを求める「再審」を大津地裁に申し立てたが、2006年に棄却。即時抗告した大阪高裁で手続きが進む中での死だった。

 一周忌を終えた今年3月30日、遺族が本人に代わって2度目の再審請求をした。「ずさんな捜査で父を逮捕した警察、警察の言うことをうのみにした検察、真実を見ようとしなかった裁判官。決して許すことができない」。長女は会見で司法への怒りをぶつけた。

     ◇

 大津地検が起訴した内容はこうだ。1984年12月28日午後8時40分ごろ、日野町豊田の「ホームラン酒店」で、経営者の女性(当時69)の背後から首を両手で締めて窒息死させ、29日午前6時ごろ、店から金庫を奪った――。

 遺体は翌年1月18日、店から約8キロ離れた宅地造成地で見つかり、3カ月後に町内の山林で壊された金庫が発見された。発生から3年余りが過ぎた88年3月、店でコップ酒を楽しむ常連客だった元受刑者が、4日連続で県警の聴取を受けた末に、「自白した」として逮捕された。

 公判で元受刑者は一貫して無実を訴えた。弁護側は「自白は警察の暴行、脅迫のため」と主張。犯人しか知り得ない秘密の暴露がないことや、「遺体と金庫の発見場所を案内できた」という間接証拠も、場所を熟知した警察が誘導したものとして争った。

 論告求刑前の95年1月、立証が不十分と見た地検が動く。犯行時間を「28日午後8時過ぎから29日午前8時半ごろ」、犯行場所を「町内やその周辺地域」とする「予備的訴因」を追加請求。犯行の時間も場所もあいまいになった。

 95年6月の判決。地裁は「自白調書は必ずしも信用できないが、その他の状況証拠で犯人であると認めるに足る」と認定。犯行時間と場所を特定した当初の起訴内容は「認めるに足る証拠がない」と退ける一方、予備的訴因は「証拠によって認められる」と、求刑通り無期懲役を言い渡した。

 二審の大阪高裁は97年5月、自白について「一部疑問点は残る」としながらも、「金庫の発見現場に到達したことや、遺体発見現場の捜査の際の言動から根幹部分は十分信用できる」と控訴を棄却した。

     ◇

 再審はかつて「開かずの扉」と言われた。だが、「疑わしきは被告の利益に」という刑事裁判の鉄則が再審にも適用されると明示した75年の最高裁「白鳥決定」により、80年代には死刑囚の再審無罪が4件続いた。相次ぐ冤罪(えんざい)事件は2009年5月の裁判員制度導入など司法制度の見直しにつながった。

 元裁判官の木谷明弁護士は「日野町事件の一審は『自白を信用できない』としながら状況証拠で有罪、二審では逆に状況証拠の信用性が低くなったので『自白が信用できる』と有罪にした。高裁段階で証拠構造を組み替えるのは不適切で、説得力に乏しい判決だ」と批判する。

 「市民感覚からかけ離れた判決」というのは、日本弁護士連合会で再審問題を担当する上地大三郎弁護士で、「冤罪(えんざい)の確信があるからこそ、遺族の再審請求を支援している」と話す。

     ◇

 足利事件、布川事件と近年も再審無罪が相次ぐ。日野町事件を通して、刑事裁判のあり方を考える。

日野町事件の経過

【1984年】

 12月29日 酒店を経営する女性が行方不明

【1985年】

  1月18日 女性の遺体が町内の宅地造成地で見つかる

  4月28日 なくなっていた金庫が町内の山林で見つかる

【1988年】

  3月12日 県警が酒店の常連客だった阪原弘元被告を逮捕

【1995年】

  6月30日 一審・大津地裁が求刑通り無期懲役の判決

【1997年】

  5月30日 二審・大阪高裁が被告側の控訴を棄却

【2000年】

  9月27日 最高裁が上告を棄却

【2001年】

 11月14日 元受刑者が地裁に再審請求

【2006年】

  3月27日 地裁が再審請求を棄却

  3月30日 元受刑者が高裁に即時抗告

【2011年】

  3月18日 元受刑者が広島市内の病院で死去

  3月30日 高裁が再審請求手続きの終了を決定

【2012年】

  3月30日 元受刑者の遺族が地裁に再審請求


【アーカイブ】日野町事件とは② 「怒り」からの行動

坂田達郎、中村亮

2018年1月1日00時00分

https://www.asahi.com/articles/ASL7C51F7L7CUEHF00D.html?iref=pc_extlink



  • 写真・図版

【2012年5月29日滋賀県版】

 2001年11月、阪原弘(ひろむ)元被告は大津地裁に再審を申し立てた。最高裁無期懲役が確定してから1年余り。新たな証拠として提出したのは、殺害方法に関する鑑定だった。

 確定判決は捜査段階の自白に基づき、「首を手で絞めた」と認定。それに対し、弁護側は自白の方法で生じる圧迫痕と遺体の傷が一致しないと、鑑定結果をもとに主張した。

 地裁は06年3月、「自白は自発的に行われ、一貫している」と再審請求を棄却。その際、「自白の殺害方法では説明できない傷がある」と矛盾を認めながら、別の絞め方で同様の傷がつくとし、「(犯行から)3年以上経過した後の自白で、記憶違いとして理解できる」と推測した。

 弁護側は金庫に関する高裁判決の判断を批判する。「金庫を見て犯行を思い立ち、盗んだ」と認定されたが、盗まれたのは普段、店にない金庫だった。

 店内は、コンクリートの土間に酒の陳列棚やレジが置かれ、常連客は、上がりかまちやいすに座って酒を飲んだ。土間横の6畳間には女性経営者がおり、そこに金庫があるのを客もよく目にしていた。だが、その金庫は盗まれず、店に残されていた。

 盗まれたのは、通常は奥にある住居部分の10畳間の押し入れ内にある金庫だった。最高裁は二審判決に法令違反や事実誤認はないとした。

     ◇

 「墓前に冤罪(えんざい)だったと報告したい、という格好のいいものではない。再審を申し立てた理由は、行動を起こさないと気が済まないという、怒りなんです」

 事件後、日野町から彦根市に転居した長男の弘次さん(51)は話す。

 逮捕前日、帰宅すると、警察に3日続けて事情を聴かれていた父が「娘の嫁ぎ先をめちゃくちゃにしたろか」と言われ、自白したと打ち明けた。「やってへんのにやったと言ったらあかん」。そう言うと、「明日、違うと言いに行く」。翌日、逮捕された。

 元受刑者は拘置所で特発性間質性肺炎を発症し、大阪市内の病院に入院した。

 上告棄却後の01年1月末、治療を終えて収監される数日前に外泊許可が出て、家族が暮らす彦根の家に1泊した。「こんな立派な所で暮らしていると思ってなかったんや」。家に着いた途端に泣いた。

 夜は家族ですき焼きを囲んだ。酒を入れたおちょこを渡したが、しみじみと眺め、「やっぱ、やめるわ」と口をつけなかった。翌日、電車で大阪へ。駅で倒れ、入院していた病院に救急車で戻った。

     ◇

 元裁判官の安原浩弁護士は、大津地裁日野町事件再審請求手続きに裁判長として関わった。地裁決定が出るまでに3人の裁判長が入れ替わり担当し、請求棄却の判断をしたのは後任の裁判長だった。

 足利、布川など再審無罪事件が相次ぐことについて、「自白調書のウソを見抜けなかったことと、怪しい鑑定をうのみにしたことが要因」と言い切る。

 裁判官だけの審理にも落とし穴があるという。「日頃、信用できる調書に囲まれているため、被告を疑ってかかり、供述調書に引きずられる。鑑定がよく分からなければ自白を、自白が信用できなければ鑑定をと、負の連鎖に陥る」と指摘する。いまの裁判員制度については、「一般の人が新鮮な感覚で見直し、被告の言い分にも理があるかもしれないと見ることができる」と意義を説明する。

     ◇

 遺族が引き継いだ再審請求で、弁護側は自白を争点の一つに位置づける。なぜ自白し、遺体や金庫を捨てた場所に案内できたのか、鑑定をもとに「無実の人が自白する過程」を明らかにするという。「開かずの扉」は開くのか、地裁の判断に注目が集まる。

 (坂田達郎、中村亮)

自白と間接証拠をめぐる認定のずれ

 <一審判決>

 自白   他の証拠と矛盾する部分があり、必ずしも信用できない

 間接証拠 目撃証言などから、アリバイの虚偽性や犯行時間に店にいたことが推認できる

 <二審判決>

 自白   一部疑問点が残るが、根幹部分は十分信用できる

 間接証拠 間接事実だけでは被告と犯行を結びつけられない(坂田達郎、中村亮)


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