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坂本堤弁護士一家殺害事件における神奈川県警の意図的怠慢捜査と証拠品色々

 このブログでは警察に警察用語の差別語=「クロ」で認定されている共産党の機関誌『しんぶん赤旗』が差別語「ブラック」を多用する愚劣を何度も取り上げています。さて今回の大量処刑で是非思い返して欲しいのは、坂本堤弁護士一家殺害事件では坂本弁護士が共産党シンパとされたために、神奈川県警が捜査の手をかなり抜いたという事です。渡辺脩麻原を死刑にして、それで済むのか?―本当のことが知らされないアナタへ 』三五館 (2004/03)という本にその詳細があるが、手元の本をさがせないので以下にネットから引用しておく。                 


▼本当のことが知らされないアナタへ:「坂本弁護士一家殺害事件」で見せた神奈川県警のデタラメな対応 [麻原国選弁護人渡辺脩氏の著作より]
http://www.asyura2.com/0403/nihon12/msg/158.html


投稿者 あっしら 日時 2004 年 3 月 09 日 02:10:27:Mo7ApAlflbQ6s

 

   

 オウム麻原被告の国選弁護人である渡辺脩氏の著作『麻原を死刑にして、それで済むのか? - 本当のことが知らされないアナタへ -』(三五館・1300円・04年2月29日初版発行)は、権力の広報機関と化した主要メディアやTVを通じてしか知ることができない「オウム裁判」の内実を窺い知ることができる貴重な情報が数多く示している。
(麻原裁判の第一審最終弁論を終えた後から書き始めたものだという)

当該書のメインテーマである刑事裁判の在り方と「オウム裁判」の実態という視点で紹介していくのが本道だが、導入として、「坂本弁護士一家殺害事件」を取り上げたい。

というのも、つい最近報じられた、北朝鮮に拉致された可能性が高いとされていた山本美保さんが実は失踪直後の20年前に遺体として発見されていたというあまりにもデタラメな警察の捜査ぶりが露呈した“事件”に通じる性格があるからである。

それに加え、「坂本弁護士一家殺害事件」は、前にも書き込みしたことだが、岡崎一明被告が逮捕される数ヶ月前に坂本弁護士が所属していた横浜弁護士事務所に電話をして、「山口で学習塾をやっている佐伯(=岡崎)が犯行に関わっているはずだから、どんな手段を使ってでも口を割らせるべきだ」という趣旨の話をしたことでもあったからである。(電話に出た横浜弁護士事務所の男性は、「佐伯(=岡崎)と話したことはあるが、彼は無関係だ」と言っていた)

※ 江川紹子氏も、坂本事件をあれだけ調査して疑念を提示していたにも関わらず、検察の主張のそのまま受け入れているのには驚かされる。江川説では、未明三時頃に殺人犯が坂本宅に押し入ったということはあり得ないのである。

「坂本弁護士一家殺害事件」で神奈川県警が見せた対応は、デタラメどころか犯罪者そのものといえるものである。

それを『麻原を死刑にして、それで済むのか? - 本当のことが知らされないアナタへ -』から引用する。

P.111~P.113

「坂本弁護士とされている遺体は組織検査もできないほど崩れていて、遺体から死因を特定できないこと、顔面・頭蓋底陥没骨折が死後のものであることを遺体自体から特定できないこと等のために、殺害の実行行為を客観的に確定できない状況になっていた。
 そうなったのは、もっぱら、神奈川県警が一九九〇(平成二)年二月に龍彦ちゃんの遺体捜索に失敗して、「遺体発見」が九五年九月の発掘まで遅れてしまったからである。
 事件発生の翌年二月、神奈川県警に坂本弁護士の遺体を埋めた場所を示す地図が投書されてきた。この投書はオウム幹部の岡崎一明が、教団と麻原被告を脅迫する目的で行ったものだった。しかし神奈川県警の遺体捜索は、以下のような信じがたい怠慢捜査であった。
 第一に、神奈川県警は、投書者が岡崎であることを把握していたにもかかわらず、岡崎に対する必要な取調べを怠った。
 第二に、一九九五年九月の遺体発見時まで五年近くの間、岡崎を現場に連れて行き、引き当たりをさせることを怠った。
 第三に、山間の遺体発掘にもっとも不適当な積雪期の二月に捜索しただけで、その後の捜索を放棄していた。
 第四に、岡崎の当社の地図が非常に正確なものであったのに、真剣な捜索でなかったために近くまで行きながら発見に失敗した。
 これらの四点は、坂本事件について、神奈川県警がいかに真剣な捜査と捜索を行わなかったかという事実をはっきり物語っている。
 その後、神奈川県警は、一九九五年九月の岡崎逮捕までの間、岡崎の取調べを断続的に繰り返し、時には嘘発見器に掛けて、黒の結果が出ても放置し、岡崎を事実上の監視下におきながら岡崎の中国大陸旅行を許すなど、実に奇妙な交際関係を続けていたのであった。
 これは、坂本事件を真剣に捜査しようとしない神奈川県警と岡崎との間の、長期にわたる根深い癒着関係であり、捜査の中身からいうと極めて内容の乏しい癒着関係であった。
 しかし、このような癒着関係から、事実をねつ造・歪曲して、警察にとっては都合がよくて手数のかからない筋書きの自白を岡崎から獲得できるし、岡崎にとっては、万一の場合、自分の責任をできるだけ軽くするような内容の筋書きで自白することを警察に受け容れてもらうというメリットが、それぞれに生まれてくる。
 その意味で、この癒着は、神奈川県警と岡崎の双方にとって貴重な関係になっていたのである。
 坂本事件では、このような癒着関係が弁護側の反対尋問によって具体的・詳細に立証されているのであるから、警察・検察と岡崎が協力しあいながら、事実に反する「謀議責任」を教祖である麻原被告人に押しつける自白を作り上げていったと疑うべき余地が十分に存在している。
 検察側には、その疑いを完全に拭い去るべき義務があった。
 一九九五年の岡崎逮捕後の取調べには、以上のような背景が存在していたことに注目する必要がある。
 その取調べでは、岡崎が自白している以上、遺体の客観的状況と岡崎自白との矛盾点や、本当の殺害の方法・場所・時間等に関する事実を厳しく追及して、事実を引き出す捜査に全力を尽くすべきであった。
 そういう捜査・取調べがまったく行われなかったことは自白の内容から明らかであり、その怠慢捜査による事実の隠蔽と疑惑の大きさには驚くべきものがある。」

※ 「この投書はオウム幹部の岡崎一明が、教団と麻原被告を脅迫する目的で行ったものだった」は、仮にオウムが坂本弁護士一家殺害事件に関与していたとしても、遺体遺棄現場の地図を警察に実際に送ってしまえば脅迫にはならないのだから、でっち上げの構図だと思われる。
 どちらかといえば、「岡崎一明が、神奈川県警を脅迫する目的で行ったものだった」というほうがまだ理に叶っている。(私も、事実の隠蔽と疑惑の大きさには驚くべきものがあると思っている)

 神奈川県警も、渡辺弁護士が坂本事件についてウソを述べ立てているのというのなら、堂々と反論するなり訴えるなりするはずだ。

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今後も、『麻原を死刑にして、それで済むのか?』を基にしたオウム麻原裁判の“茶番性”の紹介を少しずつやっていきたいと思っています。



▼ ハムサンドイッチ 

https://blogs.yahoo.co.jp/henatyokokakumei/40933377.html

     


 坂本弁護士一家殺害事件は、犯人が身分証明書(オウム真理教のバッジ)を落とした例として有名だが、この事件で警察は“坂本弁護士憎し”で最悪の対応をした。

 袴田事件などの冤罪事件では警察などの証拠捏造が頻繁に見られますが、偽旗作戦でもなぜか身分証明書が事件現場の近くなどで発見されます。

▼ケヴィン・バレット(編著)『シャルリ・エブド事件を読み解く―世界の自由思想家たちがフランス版9・11を問う』板垣 雄三(監訳)、第三書館、2017年



8章 仕込まれた身分証明書が暴くパリの偽旗作戦     ケヴィン・バレット

頁190──

 「連中のたった1つの過ちだった。」
 フランスのベルナール・カズヌーヴ内相は、 シャルリ・エブド紙を攻撃したテロリストたちがたった1つの致命的な過ちを犯さなければ、彼らは捕まっていなかっただろうと述べた。好都合なことに、彼らは逃走車に1枚の身分証明書を残したのだった。(注232)
 一体、いつから犯罪者が、乗り捨てた逃走車に身分証明書を忘れるようになったのか。
 不用心な普通の一般市民ならば、駐車した車にうっかり財布を置き忘れることがあるかもしれない。私もこれまでの人生でおよそ5万回車を運転したが、ポケットから財布が運転席とドアの間に落ちてしまったのは、たった1回だ。
 特殊部隊がやるような極めて高度な襲撃を実行したばかりで、身元が分からないように用心していた腕の立つテロリストたちが、乗り捨てた逃走車に身分証明書をうっかり置き忘れる確率はどのくらいあるだろうか。事実上ゼロだ。
 それでは、そんな起こりえないことを、警察が公表したのはなぜだろうか。
 テロ容疑者のサイード・クアシの身分証明書を、・・・中略・・・

・・・

 警察や諜報機関は恒常的に、作り話を裏付け、罪のない人々を罪人に仕立て、自分たちに罪がないことを示すために、証拠をこっそり仕掛ける。非武装の市民を殺害した米国の警察官は、正当防衛だったという主張を立証するために、遺体のそばに銃を残すことがよくある。警察は捜査攪乱用の銃を“ハムサンドイッチ”と呼んでおり、こうした銃を更衣室に保管し、必要となれば警察車両持って行くのだ。(注233)


▼坂本堤弁護士一家殺害事件
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9D%82%E6%9C%AC%E5%A0%A4%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%A3%AB%E4%B8%80%E5%AE%B6%E6%AE%BA%E5%AE%B3%E4%BA%8B%E4%BB%B6


・・・


事件後[編集]

殺害の際に中川がプルシャ(オウム真理教のパッジ)を部屋に落としたため当初からオウム犯行説が疑われることとなった[3]。
11月18日夜
坂本堤弁護士に関し教団が記者会見し「(現場に落ちていたプルシャについて)坂本弁護士が被害者の会の親から預かったもの[注釈 1]か、第三者[注釈 2]が故意に置いたと考えるのが自然[9]」「警察からは事情聴取も受けていない[10]」「申し入れがあれば捜査に協力する[10]」と発表した。この時、集中修行は11月いっぱいまでという説明をした[10]。


▼プルシャ (オウム真理教)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%A3_(%E3%82%AA%E3%82%A6%E3%83%A0%E7%9C%9F%E7%90%86%E6%95%99)


プルシャとは、日本のカルト宗教であるオウム真理教のバッジである。オウム真理教の紋章などが刻まれたバッジで、「神秘のセラミックハーン」なる材質でできているという。麻原彰晃が二日がかりで精魂込めて「修法」したものとされ、当初は極限られた者にしか配付されなかった。

ところが坂本堤弁護士一家殺害事件において、実行犯らはプルシャを遺留品として残すという重大なミスを犯してしまった。そのためオウム真理教は事件直後からプルシャの大量生産を始め、サマナのみならず外部の人間にまで配るようになった。つまり「これは実行犯の遺留品ではない。坂本堤弁護士が裁判の資料としてプルシャを持っていたにすぎない」ということにしようと取り繕ったのである。


▼「1条も語らないと」 野田秀樹さん問う天皇制への姿勢

ヨーロッパ総局長・石合力

2018年5月21日08時13分


https://www.asahi.com/articles/ASL5L30PHL5LUHBI00M.html




風 ロンドンから

 「いま憲法改正で9条を語るなら、1条も一緒に語らないといけないんじゃないか」

 自作の劇の公演でロンドンに滞在中の劇作家野田秀樹さん(62)から演劇と社会について聞いていたら、そんな挑発的な議論になった。

 野田さんは1992年に英国に留学し、ロンドンに自宅も持つ。英国から日本を相対化してみるとき、避けて通れないのが象徴天皇制を定めた1条だとみる。特に意識したのは95年、オウム真理教による地下鉄サリン事件が起きた時だった。事件後、教祖としての神格的存在から被告人になったのが麻原彰晃(松本智津夫)死刑囚だ。

 「信徒の麻原に対する見限り方と、そのままついていった姿は、45年の天皇に対する日本人の態度と非常に似ていたような気がするんです」
 戦後、大半の日本人は天皇制の問題をまともに考えず、迷ったまま生きてきた。それを清算せず、なし崩し的な対応を続けた結果が、戦後50年の節目に起きたカルトの問題ではなかったのかという見立てだ。「君主制にしたい。あるいは1条はおかしい、という議論もしないといけないんじゃないか」

 野田さんの公演の千秋楽は、…


オウム死刑囚大量執行は口封じか…検察に全面協力していた井上嘉浩死刑囚の変心、再審請求に怯えていた法務省




 衝撃のニュースが飛び込んできた。一連のオウム事件で首謀者として死刑が確定していたオウム真理教教祖・麻原彰晃(松本智津夫)死刑囚に死刑が執行され、さらに新実智光、早川紀代秀、井上嘉浩、中川智正、遠藤誠一、土谷正実という計7人の死刑囚にも次々と刑が執行されたのだ。1日に7人もの死刑執行は戦後前例がない。

 死刑の是非についてはあらためて別稿で論じたいが、それ以前に問題なのは、一連のオウム真理教事件にはいまだ数々の謎が残っており、それが解明されないまま麻原死刑囚らの刑が執行されてしまったことだ。

 これについては、被害者遺族からも「疑問や謎をもっと解明してほしかった」という声が上がっているほどだ。

 たしかに、政権にとって今年の死刑の執行は最良のタイミングだった。来年には天皇の退位、新天皇の即位と祝賀行事が続く。再来年は東京オリンピックがあり、国際社会の注目も高まるなか死刑を執行すれば国際的に強く批判されることになる。だから“今年中に”ということは既定路線だったはずだ。

 しかし、それでも、こんなにすぐに、オウム事件の死刑囚13人中7人を一気に執行するというのは異常としか言いようがない。

 しかも、13人の死刑囚のうちなぜこの7人が選ばれたのかもまったく不明だ。たとえば初期の坂本弁護士一家殺害事件の死刑確定囚からはじめたというわけでもなければ、全員が日本最悪のテロ事件である地下鉄サリン事件の確定死刑囚ということでもない。また死刑の確定順かといえば、そうではない。これについて本日午後行われた上川陽子法務大臣の会見でも説明さえなかった。

 オウム事件に詳しい複数のジャーナリストや司法記者に訊いても、何が基準かについては、首をひねるばかりだ。「なんとなく知名度の高い受刑者を選んだだけではないのか。国民栄誉賞の人選じゃあるまいし」と語る記者もいたほどだ。

しかし、もしかしたらこうした疑問を解く鍵になるかもしれない事実がひとつだけある。それは、7人のなかに井上死刑囚が含まれていたことだ。

井上死刑囚といえばこれまでの一連のオウム裁判で、検察のシナリオに沿って、検察の都合のいい証言を続けてきた“最重要人物”だ。

たとえば、17年間の逃亡の末逮捕された高橋克也受刑者は地下鉄サリン事件や目黒公証役場事務長拉致監禁致死事件の関与に関して、「サリンとは知らなかった」「被害者の仮谷清志さんに注射を打つことも知らなかった」と主張したのに対し、井上死刑囚は「サリンを撒くから運転手をするように」「仮谷さんが暴れないようにクスリを打って眠らせることを高橋被告に確認した」と有罪の根拠になる重要な証言をしている。だが一方で井上死刑囚は逮捕当時「(仮谷さんの注射について)高橋は知らなかった」とまったく逆の供述をしていたのだ。

 さらにこの際、麻酔薬を投与した中川死刑囚から「ポア(殺害)できる薬物を試したら死んだと聞いた」とも証言しているが、中川死刑囚はこれを否定。さらにその場にいた元医師の林郁夫受刑者も「井上証言はあり得ない」と証言している。それだけでなく殺害された仮谷さんの長男でさえ、中川死刑囚の殺害示唆を「信じがたい」と井上証言に疑問を呈したほどだ。

 また井上死刑囚は、宗教学者のマンション爆破などが問われた平田信受刑者の裁判においても、事件前に平田受刑者に「これから『やらせ』で爆弾をしかけると言った記憶がある」と事前共謀、計画があったことを証言し、「何も知らなかった」と主張する平田受刑者と対立している。

平田受刑者はともかく、すでに死刑が確定していた中川死刑囚が、殺意を否定するという嘘をつく理由はない。一方の井上死刑囚は、数々のオウム裁判において「これまで誰も知らなかった」新証言を不自然なまでに繰り出し、多くのオウム被告たちを“より重罪”へと導いていったのだ。

検察のストーリーに乗った証言でオウム信者を重罪に導いてきた井上嘉浩


井上証言のなかでもとくに大きかったのが、地下鉄サリン事件における麻原死刑囚の関与の証拠とされた、いわゆる「リムジン謀議」についての証言だった。

 地下鉄サリン事件の2日前の1995年3月18日、麻原死刑囚は都内の飲食店で会食後、井上死刑囚、村井秀夫、遠藤死刑囚ら幹部を乗せたリムジン内で、公証役場事務長拉致をめぐるオウムへの警察の強制捜査を阻止するために地下鉄にサリンを撒くことが提案され、麻原死刑囚もそれに同意したとされる。これが麻原死刑囚の地下鉄サリン事件関与の証拠となったが、しかし、それを証言したのは井上死刑囚だけだった。

 逆に、この井上証言がなければ、麻原死刑囚を有罪とする法的根拠はなかったとの見方もある。

 数々のオウム裁判で「これまで誰も知らなかった」新証言を不自然なまでに繰り出し、多くのオウム事件の被告たちを“より重罪”へと導いてきた、井上死刑囚。だが、他のオウム被告たちの証言はことごとく食い違っており、検察が公判を維持するために描いたストーリーに無理やり沿っているとしか思えないものだった。

 そのため、井上死刑囚と検察との関係をめぐっては、さまざまな疑惑がささやかれてきた。長年オウムの取材を続けてきた公安担当記者の多くもこんな見方を述べていた。

「井上死刑囚の取り調べの過程で、検察はオウムへの帰依や洗脳を捨てさせる一方で、逆に検察への逆洗脳を誘導したとみられています。その後、井上死刑囚は、まるで“検察真理教”となったがごとく、検察にとって有利な証言を繰り返し、“有罪請負人”の役割を果たしてきた。オウム事件は多くの信者が関わり、その役割は物証ではなく彼らの証言に依存せざるを得なかった。そしてその見返りとして、ある種の司法取引があった可能性が高い」

 実際、井上死刑囚は、一審ではオウム事件で死刑を求刑された者のなかで唯一、無期懲役の判決を受けている。結局、二審では死刑判決に変わるが、それでも、執行を遅らせる、すぐには執行しないなどというような暗黙の取引があったのではといわれていた。

 だが、今回、井上死刑囚もまた死刑を執行されてしまった。すべてのオウム裁判が終結したことで、もう用無しになったということなのか。

 もしそうならとんでもない話だが、実はもっとグロテスクな裏があるという指摘もある。それは、今回の死刑執行が法務・検察による口封じだったというものだ。 

井上が再審請求をした日に7人の死刑囚を執行準備のため移送

 前述したように、検察のストーリーに沿って、多くのオウム被告たちを“より重罪”へと導いてきた井上証言だが、その証言内容については、根本から再検証すべきではないかという声があがっていた。

 とくに大きかったのは、3年前、当の司法からも井上証言に疑問符がつけられたことだ。2015年11月、17年間の逃亡の後逮捕された菊地直子氏は、一審では実刑判決だったものが一転、高裁で無罪となる。その際、一審有罪の根拠となった井上死刑囚の証言の信用性についても、高裁は「(井上証言は)不自然に詳細かつ具体的で、信用できない」として認めなかったのだ。

 数々のオウム裁判の方向性を決定づけてきた井上証言の信用性に疑問符がついたことで、司法界やジャーナリストのあいだでも、その他のオウム事件についても再検証が必要ではないか、という声が高まっていた。

 そして、井上自身にも大きな姿勢の変化が現れていた。今年3月14日、まるでそういった動きに呼応するように、自らの事件について再審請求をしていたのだ。弁護人によると「死刑を免れたいわけではなく、事実は違うことを明らかにしたい」と語っていたという。

 そのため、一部では井上死刑囚が再審で、検察のストーリーに沿って虚偽の証言をしていたことを自ら認め、真実を語るのではないかという声があがっていた。

 もちろん、井上死刑囚が再審でこれまでの証言を翻しても判決は変わらない。しかし、もし本当にそんなことになったら、それこそ、麻原死刑囚はじめ、他の死刑判決の信用性が根底からひっくり返り、検察と裁判所はメディアから大きな批判を浴びることになる。また、再審は阻止しても、もし井上死刑囚が本当にそう考えているなら、メディアにそのことを語る可能性もあった。

 法務省はこうした井上死刑囚の変化を察知して、井上死刑囚が真実を語る前に、刑の執行を急いだのではないか。そんな疑いが頭をもたげてきたのだ。そして、井上死刑囚だけがクローズアップされないように、複数のオウム死刑囚を一気に執行した。

 麻原死刑囚以外の6人の死刑囚が執行準備のために一斉に東京拘置所から各地の拘置所に移送されたのは、井上が再審請求をした3月14日のことだった。これはたんなる偶然だろうか。

 もちろん、これらの見方は推測の域を出ない。しかし、タイミングは偶然だったとしても、今回の死刑執行によって、一連のオウム裁判の鍵を握っていた井上が真実を語る機会がつぶされ、井上死刑囚と検察の取引疑惑や、地下鉄サリン事件での「リムジン謀議」をはじめとする数々の“真相”が永遠に封印されてしまったことには変わりはない。

 さまざまな謎を残したカルト事件は、事件首謀者たちの“異様な”死刑執行によって歴史の闇へと消え去ろうとしている。いや、国家権力が葬り去ろうとしているのだ。

▼オウム死刑執行を「公開処刑ショー」にしたTVの人権意識

      

 さながら「公開処刑ショー」のようだった。6日行われた麻原彰晃(本名・松本智津夫)死刑囚ら元オウム真理教幹部7人の死刑執行。テレビは午前中から特番に番組内容を変更。東京拘置所からの中継に切り替えるなどして報じていたが、その様子に嫌悪感を抱いた視聴者は少なくなかっただろう。

「今、死刑が執行されました」

 死刑の速報テロップと同時に、女性アナウンサーが「執行」と印刷されたシールを麻原ら死刑囚の顔写真の上にペタペタと貼っていく。

 オウム真理教による事件が与えた被害の甚大さや社会に与えた影響、遺族感情を考えれば、国民の間で早期の死刑執行を望む声があったのは理解できる。だが、だからといって、死刑囚に対してテレビが選挙報道の「当確」のような演出をして許されるはずがない。理由はどうであれ、人間の生死に関わる内容なのだ。


■死刑囚本人より早く知っていたのか?

 大体、今回の死刑執行報道は初めから違和感があった。これまでの死刑執行は、執行後に氏名などが淡々と公表されるだけだったからだ。それが、「手続き」段階からバンバン報じられ、NHKに至っては早朝に東京拘置所に入る検察関係者の姿もバッチリと撮影していた。NHKは明らかに事前に死刑執行の情報を得ていたとしか思えない。つまり、死刑執行を当日朝に教えられる死刑囚よりも情報を早く入手していた疑いがあるのだ。

 服部孝章立教大名誉教授(メディア法)がこう言う。

「国家的殺人とも言われる死刑を1日で7人も同時執行し、その様子をテレビがイベントのように扱い、リアルタイムで報道する。こんな国は先進国で日本だけでしょう。世界も唖然としたと思います」

 安倍政権下で「人権意識」がどんどんマヒしている。

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