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マルコムXを知らない若者たち~「POSSE」と差別語「ブラック」

 昨日(2018/07/04)の『朝日新聞』の「文化・文芸」欄に「ロスジェネの問題提起 どこへ」の見出しの記事のなかに「POSSE」が出てきて、──「「POSSE」で長く編集長を務めた坂倉昇平さん(34)は「売り手市場でもブラック企業、ブラックバイトなど今も若者の雇用の問題は深刻だ」と指摘する。一方、労働問題は、若者と中高年、正規と非正規など「置かれた立場の違いで対立が生まれがち。互いの分断を強調しても共感は広がらない」と、社会の合意を得る難しさを痛感している。」


 差別語「ブラック企業」の採用者の今野晴貴が代表を務める「POSSE」の編集者が「ブラック企業」「ブラックバイト」という差別語を平然と使うのは当たり前だが、よって黒人への差別・偏見を広めているそんな彼ら彼女らがどんな"分断"であれ、"分断"について言及するのは笑える。彼ら彼女らは私たちの差別語「ブラック」批判については当然知っているはずだが、それでも批判を無視して差別語「ブラック」を使っているわけだから、加害者でありながら、この日本における黒人差別には無頓着を決め込んでいるわけだ。差別語「ブラック」を使い、労働運動に初めから"分断"を用意している愚劣については私は当初から指摘しているが、この"分断"は人種主義につながるものであるから、あるかどうかさえ疑わしい若者と中高年の対立などというものとは比較にもならない。人種主義と親和する労働運動などクソ食らえ!だが、この国では労働運動が率先してメディアに差別語「ブラック」をばらまき、メディアが無批判に差別語「ブラック」を垂れ流しているのが現状なのだ。今の若者がマルコムXを知らないのは不思議でもないかもしれないが、採用者の今野晴貴が映画『マルコムX』さえ見ていれば、差別語「ブラック企業」はネット卑語のまま野垂れ死に、差別語「ブラック」の大氾濫などという事態は起きなかった可能性もあり、まことに残念である。

 

 最後に、今から30年前、かような名誉白人低国の名誉白人が跋扈している国にいるある黒人女性の声を聞いてみよう。まさにずーっと「多勢に無勢」であるが、今はといえば、打ち勝てないマスコミ──差別を助長する昔ながらの黒人に対するイメージを提供している──を先導したのが労働運動だったという笑えないオチもつく。

 



▼ジョン・G・ラッセル『日本人の黒人観 問題は「ちびくろサンボ」だけではない』新評論、1991年



頁72──

 日本人が入手する黒人についてに情報は、すべて白人社会によって提供される情報である。アメリカのマジョリティ・カルチャーである白人文化、すなわち権力を持つ側の文化の目から、マイノリティ・カルチャーを見るわけである。それはマジョリティ・カルチャーが持つマイノリティ・カルチャーに対する偏見と差別観をそのまま受け入れることになる。・・・



頁84──

 さまざまな媒体をとおして、欧米人が作りだした黒人観を、いわば素直に輸入してきた日本人には、最初はそれが虚像だとはわかっていないかもしれないが、このまま放置しておけば、日本人が無意識に受け入れている黒人に対する固定観念をいっそう助長することになろう。日本人は、人種差別が海外だけにあるものではなく、この日本国内にもあるということを認識する必要がある。例えば、興味深いことに、カルピスはすでに10年前から欧米への輸出品からは「黒人マーク」を削除していたにもかかわらず、日本国内では「黒人マーク」を使用しつづけていたのだ。それは、日本には、黒人に対する差別がなく、黒人を"健康美"や"機能美"の象徴として用いることになんの問題もない、という認識によっていたのだ。◆


頁139──

 日本において、黒人差別に反対する黒人自身の個人的努力が必要なことは言うまでもない。しかし、かれらがどんなに黒人の実像を伝えようと努力しても、マスコミなどによって普及される偏った黒人イメージにうちかつことは容易ではない。『朝日新聞』1988年8月27日朝刊の「声」欄に掲載されたテレサ・ウィリアムズという黒人女性の投書は、個人的努力の限界を明確に物語っている。

  来日して1年半、私は女子大学で英語と演劇を教え、とりわけ社会意識教育に力を入れています。しかし、それもせいぜいあと半年くらいで日本を引き揚げようと思っています。
 というのは、黒人がどれほど米国文化に寄与したかを教え、英語を懸命に教えても、日本の政治家が黒人を侮辱する発言をしたり、マスコミが黒人に対する差別を助長する昔ながらのイメージを提供している限り、私の努力や黒人文化は日本人にわかってもらえない、という結論に達したからです。

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