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えっ、「丸刈り」がかっこいい? ~高校野球と「丸刈り」~


 「丸刈り校則」が中学校から消えたのは、この校則が不合理で愚劣だったからだ。よって"伝統だから"という理由で継続してきたものも、まともな思考で判断されれば、滅びさるものだ。しかし今でも、「丸刈り」で連想される高校野球は絶大の人気を誇っていて、「丸刈り」というこの"悪しき伝統"はしぶとくいまだに生き残っている。よって人は「丸刈り」の長所を無理矢理探すしかなく、例えば「清潔で散髪代がかからない」「野球に集中できる」とか理由をあげて喜んでいる。後者については、同じ発想をして、「髪が長いとおしゃれに気を取られ、勉強に集中できない」とか妄想して生徒に「丸刈り」強制という拷問を行い、結果として"悪しき伝統"を復活させた私の母校の教師のような事例もあるから、「「丸刈り」だとスポーツだけでなく勉強が向上する」という理由も、愚者なら使える言い訳になる。言うまでもなく、高校野球の「丸刈り」は"伝統"だからいまだに継続していて、この理由がほとんどすべてである。実は「丸刈り」は日本では戦前には、"戦争する髪型"としての地位を得ていたので、戦前を描いた映画でも皇軍兵士の頭はほぼ「丸刈り」である。よって皇軍兵士は「丸刈り」で殺人・強かん・放火・略奪を繰り返していたことになる。伝統を語るとき人は、こういう都合の悪い歴史は忘却しているから、まことに厄介である。さてここで科学を語れば、柔らかく強靭な髪は、人の大切な脳を堅い頭蓋骨との連携で守る重要な役割を担っていて、外部衝撃のかなりの力を軽減させる。こんなことはちょっとの想像力ですぐ分かるが、不合理がまかり通っているときは科学は遠ざけられる。


 『朝日新聞』の昨日(2018/07/03)の記事(長野県版)──「イマどき高校野球」で、「丸刈り」が取り上げられている。高校野球実態調査(朝日新聞社と日本高野連が5年に1度実施、6月発表)に

よると、全国3939校の回答で、「丸刈り」とした学校は76.8%。圧倒的な数字である。以下が「丸刈り」をルールにしている学校の主な理由──

◆清潔に、お金をかけない
◆野球により集中するため
◆伝統で継続している
◆(「丸刈り」も)高校野球のユニフォームの1つと考えるから


以下は、「丸刈り」をルールにしていない学校の主な理由──

◆「丸刈り」で入部を敬遠する子が多い
◆高校時代に身だしなみに気をつかうことも大切だから
◆プレーに支障がなければこだわらない
◆時代の流れを感じたから

 

 「丸刈り」をやめたある高校では、大会直前になると、自主的に「丸刈り」にした部員が急増。別のある高校の監督が「丸刈り」についてどう思うか質問すると、「高校野球は「丸刈り」じゃなきゃ、格好悪いです」と部員が「丸刈り」をやめることに反対。
 また中信のある高校は、冬の間は頭髪を伸ばすように勧めている。監督は「高校3年間の中で、髪型や身だしなみを気にする時間も必要。個人的にも、「丸刈り」でなければいけない理由を合理的に説明できない」。ただ、春以降は生徒が自主的に髪を短く切っている。


 同調圧力の強い日本で、子どもたちは見事な処世術で"伝統"を死守している様子がうかがえる。美意識まで転倒させて痛々しい限りだが、ただし美意識は人それぞれだから、社会人になっても好きで「丸刈り」にする人間にケチをつける気はない。問題は"強制の有無"である。


 映画『バッテリー』で主人公が叫ぶ──「髪を短くすれば、球が速くなりますか?」、この叫びまでに来るのにも日本は長い歴史を要し、今現在には、プロ野球のマリンズのボルシンガーは風になびくほどの長髪でプレーをし、現在パリーグの最多勝ピッチャーである。かように髪の長さと野球の実力とは関係がない。彼の場合、ひょっとしてプレーに支障がある可能性も排除できないが、どっちにしても自己責任であり、他人がとやかく言う必要もない。 

 

 最後に、伝統維持派の「(「丸刈り」も)高校野球のユニフォームの1つと考えるから」という答えには度肝を抜かれる。監督の指示通りに考えもせずロボットのように動く個性もない高校球児の象徴が「丸刈り」なのである。要するにユニフォームという囚人服を着た人が「丸刈り」を強制され、その不合理を丸呑みし美意識さえ転倒させて強制を半ば歓び、「丸刈り」を限界自由として楽しみ、メディア(ミーディア)に一時でも持ち上げられる至福のために、真夏の炎天下で苦行のような野球をしているのが高校球児だということになる。 


 強制された「丸刈り」は格好悪い!髪の長さと野球の技量とは無関係。こんな簡単なことが分からずに子どもが野球を楽しめるわけはない。

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