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カルピスと日本の労働運動 ~米国で使えない言葉(差別語「ブラック」)が、日本では使えてしまう不思議~

 河添誠は労働運動では著名な人物だが、彼が以前こんなツイートをしていた。
 
★河添誠(2013年12月1日)──カナダのトロントで開かれたレストラン労働者の権利向上の国際会議で、日本の労働状況を話した時に「ブラック企業大賞」を私が紹介。移民の活動家から「いい運動だけど、ブラックじゃなくてホワイトだよね」と皮肉をこめて指摘された。アメリカなどでは、「ブラック」を否定的に使うことは許されない。


 彼の真意ははかりかねるが、思うに、米国などでは黒人が沢山いるから差別語「ブラック」は使えないが、日本には黒人はほとんどいないから、たとえ差別語であっても使えると考えたのであろう。これはたとえ差別語を使っても、日本国内では存在を無視できる黒人に糾弾などされないという予測に基づくものとも解せる。例えば私の批判を無視し差別語「ブラック」に好意的な前田朗も、黒人から批判されたらちょっと考えるとか発言しているから、参考になるだろう。

 そういえば去年の年末に勃発した「黒塗りメイク」問題も似たような現象──ただし欧米圏でもオランダのような例外もある──だが、かように、米国で使えない言葉(差別語「ブラック」)が、日本では使えてしまうような不思議な現象について、これと似たような問題が、昔日本でおきていたのでここに紹介しておきたい。


▼ジョン・G・ラッセル『日本人の黒人観 問題は「ちびくろサンボ」だけではない』新評論、1991年


頁84──

 さまざまな媒体をとおして、欧米人が作りだした黒人観を、いわば素直に輸入してきた日本人には、最初はそれが虚像だとはわかっていないかもしれないが、このまま放置しておけば、日本人が無意識に受け入れている黒人に対する固定観念をいっそう助長することになろう。日本人は、人種差別が海外だけにあるものではなく、この日本にもあるということを認識する必要がある。例えば、興味深いことに、カルピスはすでに10年前から欧米への輸出品からは「黒人マーク」を削除していたにもかかわらず、日本国内では「黒人マーク」を使用しつづけていたのだ。それは、日本には、黒人に対する差別がなく、黒人を"健康美"や"機能美"の象徴として用いることになんの問題もない、という認識によっていたのだ。◆

注:◆
カルピスが、今回日本国内においても「黒人マーク」の使用を中止したのは、アメリカでの同社による「黒人マーク」いついての意識調査で、調査対象となった36人(白人と黒人)の過半数が、差別を感じると回答したためである。つまり、日本人がそれに差別を感じるからではなく、アメリカ人がそのように感じたから、中止を決めたのである。私の知る限り、大阪で「黒人差別をなくす会」を作って活動している有田利二氏の努力を例外として、一般の日本人がカルピスの「黒人マーク」に差別を感じとり、使用中止を要求した例はない。『朝日新聞』』1989年7月11日夕刊、『週刊朝日』 1989年7月28号、141ページを参照のこと。


*****


 遅きに失したカルピスだが、少なくとも「黒人マーク」を使用禁止したわけだ。これが意味することは日本で氾濫する差別語「ブラック」に関連づけてみるとあまりに重い。公民権運動を知らず、「ブラック・イズ・ビューティフル(黒は美しい)」運動も知らず、ネット卑語の差別語「ブラック」を採用し、使い続けて黒人への差別・偏見を拡散する日本の労働運動は一営利企業よりも反黒人差別基準が低いということだ。
 

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