睡眠不足が続くと・・・

  「仕事に追われこの頃やっとゆとりができた」とかいう歌詞で井上陽水が昔歌っていたが、私の場合の今日は、「仕事に追われくたびれ果てて休む」わけで、明日の仕事のための休息だ。“休息”と言えば、野球解説者の桑田真澄が繰り返し述べているが──練習も大事だが休息も大事、とプロ野球に未だにはびこる猛練習信仰に警鐘を鳴らしている。スポーツ科学を学んだ彼だから言える言葉だ。
 私の話に戻ると、過度の労働が原因の睡眠不足もこの頃続いている。そういえば昨夜、NHKスペシャルで「睡眠負債」の特集をやっていたが、この頃の私は通常の睡眠時間より2、3時間ほど短い。睡眠不足関連でついでに言えば、酒に弱い私は、酒を飲むと4時間ほどしか寝られないから、酒が睡眠に悪いことは身をもって知っている。
 番組では、「睡眠負債」ががんの進行を早め、認知症のリスクを高めることが報告されていたが、NHKスペシャル「病の起源」でも夜勤ががんのリスクを高めるという内容が紹介されていた。

 要するに毎日7、8時間の夜の睡眠が健康のためによいことは分かっている。社会がこれにどう向き合うかということだろう。

追記:清水徹雄『不眠とうつ病』(岩波新書、2015年)には、“睡眠麻痺(金縛り)”と“入眠時幻覚”について書かれていて、タタリや幽霊や悪魔について信じる人には必読書であろう。ここでは、、「睡眠負債」について引用──

頁75──

睡眠負債

 毎日の睡眠不足は蓄積していきます。これを「睡眠負債」と呼んでいます。1日に必要な睡眠時間を3時間ずつ削ると、8日で24時間になりますね。そうすると、1日完全徹夜をしたのと同じ程度に作業能力が落ちる可能性があるのです。本来7時間の睡眠が必要な人が、様々な事情で睡眠時間を4時間に削る場合がそれに相当します。多くの人は、この溜まった睡眠負債を週末に爆睡することでまとめて返しています。
 睡眠負債が溜まっているのに、早朝からゴルフや釣り、山菜採りのために早起きして車で遠出するのは、徹夜明けで運転するのと同じくらいに危険なことです。実際に、徹夜とアルコール摂取の運転に及ぼす影響を比べた研究があります。・・・中略・・・その研究によると、徹夜後の運動能力の低下の程度は、飲酒運転のそれに匹敵するとのことです。・・・中略・・・しかし寝不足を計る機械はありません。飲酒運転と同じくらいに危険な徹夜明けの運転能力低下が放置されているのは問題です。



 







▼夜勤多い看護師 女性は乳がん、男性は前立腺がんリスク増加
2014年4月26日 16時0分
NEWSポストセブン

 春眠暁を覚えずという言葉があるが、現代では逆に眠れなくて困っている人の方が多い。毎朝午前4時半に起床し、質がよい睡眠をとっているというベストセラー『がんばらない』で知られる鎌田實医師が、睡眠が体におよぼす影響と、良質な睡眠について解説する。

 * * *
 いまや、日本には不眠症患者が2000万人いるといわれている。日本人の5~6人に1人が不眠症に悩んでいる計算になる。睡眠導入剤の使用量も増加傾向にある。

 他に、こんなデータもある。

 日中働く看護師を1とすると、昼夜交代勤務の看護師は1.8倍ほど乳がんの発生率が上がるという。夜勤だけの看護師は、さらに2.9倍にもハネ上がる。

 ハーバード大学で付属の病院に勤める看護師で調査したところ、夜勤に30年以上ついた看護師は、日中勤務の看護師よりも1.36倍発がんリスクが高くなることも分かった。

 これが男性の場合では前立腺がんのリスクになる。

 工場やファミリーレストラン、遊戯施設や病院、福祉施設などで夜間勤務に就く人は日本人の5人に1人。要注意だし、睡眠はこんなに深く健康と関係している。

 また勤務ではなく、電灯をつけて明るい状態で眠る人は、暗闇で眠る人に比べて、血液中のメラトニンが5分の1しか作られないという結果もある。

 このメラトニンが大事。メラトニンはがんを抑制してくれる物質なのだ。作られる量が少ないと、がんになるリスクも上がる。

 アメリカでは、メラトニンの効能が注目されてサプリメントも売られているほど。日本ではサプリメントは売られていないが、いち早くネットで輸入して飲んでいる人もいる。

 しかし無理してサプリメントを飲む必要はない。というのも、メラトニンは幸せホルモンと呼ばれるセロトニンから作られるからだ。そのセロトニンの材料はトリプトファンという必須アミノ酸だ。トリプトファンを多く含む食品を食べれば、メラトニンの材料は自然に増えるのである。

 その食品とは、肉やチーズ、魚、牛乳、大豆、卵、バナナなどである。他には、牡蠣や高野豆腐に多く含まれている亜鉛はセロトニンの合成に必須の栄養素だといわれている。

 そういったものを食べて、太陽の光をたっぷり浴び、ウォーキングなどのリズミカルな運動をするとセロトニンが分泌され、夜になるとメラトニンになるのである。セロトニンがたくさん分泌される人はメラトニンもたくさん分泌する。その結果、夜も眠りやすくなるのだ。

 そして、夜、メラトニンを多く分泌させようと思ったら、午後10時以降は明るすぎる照明の下にはいないこと。出来ればパソコンでの作業もしない。電源オフにするとメラトニンはもっとできやすくなる。

※週刊ポスト2014年5月2日号


▼夜型の女性は乳癌のリスクが40%増加
2015年10月18日
http://kenkoubyouki.com/?p=815


夜勤勤務をしている女性は乳癌のリスクが高いという研究を2つ紹介します。

①デンマーク癌学会癌疫学研究所が「夜勤勤務の女性は通常の女性に比べて40%も乳癌のリスクが高い」と発表しました。

この研究はデンマーク軍に勤めている約1万8000人を対象として調査したものです。

乳癌のリスクが高くなる理由は2つあると言っています。

理由の1つ目は夜起きていることによって、メラトニンの分泌が減ってしまうことです。

メラトニンは体内時計をコントロールしている脳内ホルモンです。

朝は朝日(光)を浴びることでメラトニンの分泌が減り、夜は眠くなるようにメラトニンの分泌が増えます(メラトニンが増えると眠くなるので、眠りホルモンと言われている)。

メラトニンは体内時計のコントロールだけではなく、癌を抑制する役割もあります(乳癌に対する抑制作用は動物実験により確認されています)。


メラトニンはがん細胞自体に働きかけて増殖を抑える効果も報告されています。
メラトニンには、腫瘍血管の新生やがん細胞の増殖、転移を阻害する作用が報告されています。
メラトニンは培養細胞を使った研究で、乳がん細胞のp53蛋白(がん抑制遺伝子の一種)の発現量を増やし、がん細胞の増殖を抑制することが報告されています。

また、エストロゲン依存性のMCF-7乳がん細胞を使った実験で、エストロゲンとエストロゲン受容体の複合物が核内のDNAのエストロゲン応答部位に結合するところをメラトニンが阻害することによって、エストロゲン依存性の乳がん細胞の増殖を抑えることが報告されています。
動物実験でも、乳がんの増殖を抑える効果が示されています。

銀座東京クリニックのホームページより引用

ところが、夜勤の人は夜に光(電灯など)を浴びているために通常は夜増えるはずのメラトニンの分泌が減ってしまうのです。

これでは乳癌のリスクを抑えることはできません。

理由の2つ目は昼夜逆転生活によるストレスです。

概日リズムの異常による「睡眠障害」や「ホルモン分泌の変調」などがこのストレスに関わっています。


地球上のほぼすべての生物には、24時間周期で繰り返される概日リズムが存在し、この体内時計によって睡眠や覚醒、ホルモンの分泌、血圧・体温調節などの生理活動が制御されていることが知られています。

概日リズムの異常は、時差ボケや睡眠障害などのリズム障害を引き起こすだけでなく、がんや生活習慣病、精神疾患などにも関わるとされています。

理化学研究所より引用



②仏国立保健医学研究所が「夜勤勤務の女性は通常の女性に比べて30%乳癌のリスクが高い」と発表しています。

理由として挙げているのは①夜起きていることで免役力が弱くなること。

②体内時計が乱れること(時計遺伝子が乱れる)。

です。

「時計遺伝子」は24時間周期で生活のリズム(概日リズム)を取る遺伝子です。

理化学研究所が「最後の時計遺伝子」を発見したと発表していましたが、時計遺伝子は実際にあります。

理化学研究所は「STAP細胞はあります」と言っていた小保方さんが所属していた研究所です(笑)


理化学研究所(理研、野依良治理事長)は、哺乳類の概日リズムをコントロールする新たな時計遺伝子「Chrono(クロノ)」を、ゲノムワイドかつ網羅的な解析によって発見しました。昼夜の転写活性の振幅が大きいという時計遺伝子の特性を強くもつ遺伝子であり、他の時計遺伝子の発現様式がすでに明らかになっていることから、最後の時計遺伝子と目されます。

理化学研究所より引用

以上2つの研究を紹介しましたが、「夜勤が乳癌のリスクを高めること」は間違いないですね。

WHO(世界保健機関)も昼夜交代制の勤務を「恐らく発癌性がある」というグループ2Aに分類しています。

グループ2Aは上から2番目の分類ですので、十分気を付けた方がよさそうですね。

▼乳がんとメラトニン
http://f-gtc.or.jp/melatonin/melatonin2.html


尿中のメラトニンの量の少ない人(=体内のメラトニン産生の少ない人)は乳がん発症率が高いことを示す研究結果が複数報告されています。




Urinary Melatonin Levels and Breast Cancer Risk.(尿中メラトニン量と乳がんリスク)JNCI 97(14):1084-1087, 2005
米国で実施されている最大の疫学研究のNurses' Health Study (NHS)の中で、尿中のメラトニン量と閉経前乳がんの発症率を前向きコホート研究で検討。
浸潤性乳がんを発症した147人と健常者(コントロール群)291人について、早朝に採取した尿中のメラトニン代謝産物の6-sulfatoxymelatoninの量を比較した。
尿中のメラトニン代謝産物が多い上位25%の人は、少ない方から25%の人に比べて、乳がん発症の相対危険度(オッズ比)は0.59(95% 信頼区間, 0.36-0.97)と低下していた。これは統計的に有意な差であった。

Urinary melatonin levels and postmenopausal breast cancer risk in the Nurses' Health Study cohort.(看護師健康調査コホート研究における尿中メラトニン量と閉経後乳がん発症リスク)Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 18(1): 74-79, 2009
Nurses' Health Study (NHS)の中での解析で、尿中のメラトニン量と閉経後乳がんの発症率を前向きコホート研究で検討した結果を報告。
健康な女性看護師18643人を対象に追跡し、乳がんを発症した357人と健常人533人について、尿中のメラトニン代謝産物の6-sulfatoxymelatoninの量を比較した。その結果、尿中のメラトニン代謝産物の量が多いほど、乳がんの発症率が低下することが明らかになった。
尿中のメラトニン代謝産物が多い上位25%の人は、少ない方から25%の人に比べて、乳がん発症の相対危険度(オッズ比)は0.62(95% 信頼区間, 0.41-0.95)と低下していた。これは統計的に有意な差であった。

Urinary 6-sulfatoxymelatonin levels and risk of breast cancer in postmenopausal women.(閉経後女性における尿中6-sulfatoxymelatoninレベルと乳がんリスク)J. Natl Cancer Inst. 100(12): 898-905,2008
閉経後女性の乳がん発症率と尿中のメラトニン量との関連を前向きコホート研究で調査。メラトニンの主要代謝産物の6-sulfatoxymelatoninの尿中排泄量を、追跡期間中に乳がんを発症した178人の閉経後女性と、条件の一致した710例のコントロール群と比較。その結果、尿中のメラトニン量が多いほど、乳がんの発症率が低下することが示された。
メラトニンの代謝産物である6-sulfatoxymelatoninの排泄量の多い上位25%の人は、少ない方から25%の人に比べて、乳がん発症の相対危険度(オッズ比)は0.56(95%信頼区間:0.33-0.97)に低下。この相対危険度は、非喫煙者では0.38(95%信頼区間:0.20-0.74)にさらに低下。尿を採取後4年以内に浸潤性乳がんを発症した症例を除いて計算すると、相対危険度は0.34(95%信頼区間:0.15-0.75)に低下した。
このリスク低下は乳がんのホルモン依存性の有無とは関係が認められなかった。
追跡調査した3966人のうち、6-sulfatoxymelatoninの尿中排泄量の多い上位25%の992人では調査期間中に40人(4.03%)が乳がんを発症したのに対して、排泄量の少ない下から25%の992人では56人(5.65%)が乳がんを発症した。


多くの前向きコホート研究で、閉経前と閉経後のどちらにおいても、メラトニンの体内産生量が高いほど、乳がんの発送リスクが低下することが明らかになっています。つまり、体内のメラトニン産生量と乳がんの発症リスクが逆相関することを示し、メラトニンの乳がん予防効果を支持するものです。
メラトニンの分泌が少ないと女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が増えるので、乳がんの発生率が高くなるという意見もあります。さらに、メラトニン自体に様々な抗腫瘍効果があることが知られています。

夜勤の多い看護師や、国際線の乗務員のように概日リズムが慢性的に乱れやすい職種の人では、他の職業の人に比べて、乳がんの発生率が高いことが報告されています。
例えば、乳がんの発生率を検討した疫学研究のメタ解析では、国際線の乗務員では70%、交代制勤務の職種では40%の乳がん発生率の上昇が認められています。(Naturwissenschaften 95: 367-382, 2008)
交代制勤務が乳がんの発生リスクを高める理由は複数の要因が関与していると考えられます。体内時計の乱れが内分泌系の異常を引き起こし、その結果、乳がんが発生しやすい可能性が指摘されています。
さらに、体内時計の調節に重要な役割を担っているメラトニンとの関連が指摘されています。メラトニンは脳の松果体から産生されるホルモンの一種で、その分泌は光によって調節されます。すなわち、目から入る光によってメラトニンの産生は少なくなり、暗くなると体内のメラトニンの量が増えて眠りを誘います。
夜間に強い光を受けるとメラトニンの分泌の低下を引き起こし、乳がんの発症に関与している可能性を指摘する「乳がん発生のメラトニン仮説」が提唱されています。盲目の人には乳がんが少ないという報告や、夜間勤務の人には乳がんが多いという報告があり、これらはメラトニンが多く分泌される状況にあると乳がんの発生が抑えられ、夜間勤務のようにメラトニンの分泌が抑えられると乳がんが発生しやすい可能性を示唆しています。


培養細胞を使った研究で、メラトニンは乳がん細胞のp53蛋白(がん抑制遺伝子の一種)の発現量を増やし、がん細胞の増殖を抑制することが報告されています。また、エストロゲン依存性のMCF-7乳がん細胞を使った実験で、エストロゲンとエストロゲン受容体の複合物が核内のDNAのエストロゲン応答部位に結合するところをメラトニンが阻害することによって、エストロゲン依存性の乳がん細胞の増殖を抑えることが報告されています。
動物実験でも、乳がんの増殖を抑える効果が示されています。

ホルモン療法(タモキシフェン)を受けている進行した乳がん患者において、1日20mgのメラトニンの服用に延命効果があることが報告されています。ホルモン依存性の乳がんの治療のあと、再発予防の目的で抗エストロゲン剤のタモキシフェンなどが投与されますが、1日20mgのメラトニンはその再発予防効果を高める効果が期待できます。


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