トンデモ和製英語「ブラック」を使用しない例――『人民新聞オンライン』(2013/11/26更新)

解雇やりたい放題を合法化する
2013/12/23(月) 午前 9:17

 トンデモ和製英語「ブラック」の氾濫で労働組合関連の記事を引用・転載するのに躊躇するが、この記事にはトンデモ和製英語「ブラック」がないので以下に転載する。

 「解雇やりたい放題」を、あるいはもろもろの労働権侵害を「ブラック」というひと言で言ってしまう表現者は私には馬鹿にしか見えない。どう言い訳しようと、トンデモ和製英語「ブラック」を使う人間は、これからも私から馬鹿と呼ばれるだろう。
 

▼解雇やりたい放題を合法化する
安倍政権「労働規制緩和」
鈴木剛さん(「東京管理職ユニオン」書記長)インタビュー

http://www.jimmin.com/htmldoc/149801.htm

11月12日、東京地裁は、退職勧奨を拒んで子会社に出向を命じられたリコー社員が元の職場への復帰を求めた訴訟で、2人の出向を無効とする原告勝訴の判断を下した。同裁判では、「追い出し部屋」の実態が明らかにされ、これを違法と判示した。

安倍政権は日本を「世界で一番企業が活躍しやすい国」にするとして、①非正規雇用の拡大、②解雇の金銭解決など解雇規制緩和、③裁量労働制の拡大・残業代ゼロ、④リストラ請負会社利用に助成―など、労働者保護ルールを全面改悪しようとしている。

リコー裁判は、安倍政権が目論む労働法制の改悪がどのような労働環境を生み出すのか?を垣間見せた裁判でもある。リコー争議を中心的に支援してきた東京管理職ユニオン書記長・鈴木剛さんに、労働法制改悪を先取りする実態を聞いた。(文責・編集部)

労働者全体の不安定化・低賃金化を促進
安倍政権が目論んでいる労働法制の規制緩和は、正規・非正規を問わず労働の全面的な不安定化・低賃金化を促進するものです。

これまでの労働法制改正は、いつ首を切られるかわからず、賃金も下がるような労働の不安定化に、不十分ながらも歯止めをかける方向でした。ところが安倍政権は、これを180度ひっくり返して、わずかに規制をかけていた派遣法と労働契約法をさらに緩和し、正社員の不安定化・労働強化も進めるというものです。

非正規労働の拡大と不安定化は深刻です。改正労働契約法は、有期労働契約の反復更新の下で生じる雇止めに対する不安を解消するために、通算5年以上更新した労働者については、無期労働契約に転換する、としていましたが、これを10年に延長しようとしています。

しかし、無期転換を防ぐために5年の直前に雇い止めにするというような悪質事例が、次々と明らかになっています。しかもこの延長を、「特区」という民主主義を壊すような手法で実現しようとしています。

派遣労働ネットワーク(理事長・中野麻美弁護士)の調査によると、1993年頃の派遣労働の平均時給は1500円だったのですが、最新の調査では1100円まで下がっています。20年間下がり続けているのです。

正社員の不安定化も同様です。私たちコミュニティユニオンに持ち込まれる相談事例を見ていると、法改正に先行してすでに実体化しています。

具体的事例を紹介します。11月12日、オフィス機器最大手のリコーを被告とする労働裁判の判決がありました。リーマンショック後の2011年に、大手家電メーカーが1万人規模のリストラを行いましたが、この先鞭をつけたのがリコーです。

全グループ社員10万人のうち1万人の首を切る大リストラでした。この直前に派遣切りがあり、外資系の首切りがあり、いよいよ日本の大手生産現場に迫り、その先鞭となった、象徴的で悪質なリストラです。

この特長は、まず、黒字決算の中でのリストラであったことです。2011年度だけが唯一の赤字決算となった理由は、大規模リストラに備えて退職金を積み増したのと、企業買収失敗による損金計上によるものです。同年には、リストラ真最中に株主配当を行い、女子ゴルフのスポンサーにもなっています。ドイツの企業買収もやっているのです。本当に悪質な企業です。

リストラを拒否して訴訟を起こしたのは、全員、大学の理系学部を出て技術開発を担ってきた労働者です。特許を取得し社長から表彰された優秀な技術者もいますが、理由も告げられずリストラ対象にされました。

リコー裁判の勝訴は、安倍政権が進めようとしている労働規制緩和を「違法」と裁定したことになりますので、一企業に対する勝訴にとどまらず、重要な判例となります。

「追い出し部屋」とリストラビジネスの実態
中小企業はすでに解雇やりたい放題ですが、上場企業は法令遵守原則があり、訴訟リスクもあります。解雇対象者の人数も桁外れに多いので、裁判で敗訴すると全部ひっくり返るので、相当な混乱を招くからです。

このため「解雇」ではなく、早期退職制度や退職勧奨という手法を用いますが、退職勧奨を繰り返すと「退職強要」となって、違法となります。このため、コンサル会社や企業弁護士(経団連顧問…石崎山中総合法律事務所など)が指南役となり、新たな手法を使い始めています。

リコーの場合、賃金を下げないで、「あなたの能力を生かす」という名目で配転・出向をさせる、という違法ギリギリのやり方です。開発技術者が、専門知識とは全く無関係の物流や在庫管理の仕事へと「島流し」されました。

従来は、「あなたには能力がない」と責めたてて、退職あるいは降格・賃下げを迫るものでしたが、これは違法性が高い。だから、「総合的な事情であなたのポストはないので、移動してください」として、賃金は下げずにキャリアとは無関係の仕事をあてがうのです。

パナソニックやソニーは、「仕事」として転職活動を命じます。転職先を見つけられないと、最低ランクの評価をつけて賃金を下げる一方で、再就職先を見つけると、最高評価をつけて退職させるのです。マンガのようなリストラ手法です。

竹中平蔵氏が会長を務める「パソナ」のような人材派遣会社は、リストラビジネスを始めています。「あなたの新たなキャリア作りを応援する」として、会社の代わりに退職勧奨をするのです。エセ心理学テストを、業務命令として毎日受けさせます。結論は決まっています。「他の会社に移った方がいい」です。これを直属の上司がやるとパワハラとして違法性を帯びるのですが、雇用関係のない第三者がやることで法の目をかいくぐるのです。

「安泰」といわれた大企業の中高年労働者は、すでにボロボロの状態です。これが原因で自殺した人もいます。

リストラしやすい正社員=「限定正社員」
政府は、限定正社員制度を「非正規労働者が正社員になるためのステップ」と説明していますが、大ウソです。限定正社員制度も人材の流動化・非正規化の流れの中にあるものです。

日本は、「総合職」であっても実際には限定正社員が多いのです。技術者なら技術開発部門のあるオフィスは限られているので、彼らの勤務地も職種も限られています。事実上の「限定正社員」なのです。正社員を限定正社員にすることで、「あなたの部署は必要なくなりました」と解雇や異動をやりやすくする制度として利用されます。

一部残る「正社員」については、成果主義が徹底されて、残業代を払わないホワイトカラーエグゼンプションや名ばかり管理職で締めつけられ、ボロボロになるまで働かされます。

上場企業の有価証券報告書を見ると、①会社の内部留保は増加し続け、②株主配当も増加している一方で、③労働者の賃金は、1997年以降減少し続けています。経営陣は、本業での新規開発・売り上げ増加ではなく、短期的なコストカットで利益を出そうとしています。手っ取り早い手段が、人件費削減=リストラです。

安倍政権が進めようとしている「限定正社員」制度は、先に紹介した「追い出し部屋」すら要らなくするものです。

解雇の金銭解決制度は労働者のダンピング
日本には、解雇権濫用を禁止する法理がありましたが、金銭解決制度導入は、事実上の解雇自由化になります。さらに財界は、労働審判の和解金額を公表するよう要求しています。

解雇事件が争議となって労働組合との団体交渉で解決すると、解決金・退職金は、最も高くなります。次に労働委員会、裁判所の労働審判の裁定、最も低いのが労働局、の順となります。財界は、解決金の相場やルールを形成することで、ダンピングを狙っているのです。これが実現すると、労組との団交は不要として拒否するようになります。労働組合つぶしにもつながります。

そもそも、現実は解雇やりたい放題がまかり通っています。年間100万件といわれる労働相談のうち、解雇事案が最多となっていますし、恣意的解雇もまかり通っているので、むしろ解雇規制を強めるべき現実があるのです。

安倍政権が進めようとしている労働規制緩和の必要性は、全く事実を無視したもので、労働に関するさまざまなデータを参照すれば、簡単に論破できるものです。安倍政権は、ネタがバレバレの「下手な手品師」です。

労働運動もようやく反撃へ─連合も本腰
こうした労働法制の改悪を許してきたのは、労働運動の弱さであり、他の社会運動との連携の弱さでしたが、ようやく反撃を開始しました。連合は、解雇規制の緩和について闘争本部を立ち上げました。

連合は、厚労省の労働政策審議会に委員を送り込んでいるのですが、厚労省前に250人ほどを集めて激励行動を行いました。大衆行動は4年ぶりです。12月5日には、日比谷野音で大衆集会・デモ、国会請願行動を予定しています。全労連、全労協はすでに動き始めているので、ナショナルユニオンの足並みは揃っています。

日弁連も、反対集会や宣言を発し、労働弁護団は日比谷野音で集会(12月13日)を予定しています。

ただし、こうした動きは、社会的には知られていませんし、労働者にも届いていません。事態は危機的です。連合は男性正社員にしか目を向けてこなかったために、労組の組織率は18%まで落ち込み、労働組合に包摂されない労働者が圧倒的になっています。非正規や外国人労働者をはじめ、労働市場から排除されているニート・ひきこもり・野宿者などの支援は、「生存権」や「社会の持続的再生産」という観点から社会運動体が担ってきました。

こうした人たちと広く結んで、労働組合自身も変わっていく必要があります。「社会的労働運動」を、スローガンだけでなく、その実態を作っていくための大きなステップとしたいと思います。

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