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焦点/福島第1周辺除染目標 揺れる「1ミリ」(上)安全基準化、帰還に影

焦点/福島第1周辺除染目標 揺れる「1ミリ」(上)安全基準化、帰還に影



仮設住宅で暮らす佐藤さん。1ミリシーベルト以下にこだわらず、早期帰還を望んでいる
 
 福島第1原発事故で政府が除染目標に掲げる「年間被ばく放射線量1ミリシーベルト以下」をめぐる議論が再燃している。国際原子力機関(IAEA)が「さほどこだわる必要はない」と見解を示し、自民党は追認姿勢を打ち出した。原発周辺の被災地では今、「1ミリシーベルト」が安全基準化し、避難住民が帰還をためらう要因になっている。除染効果の面で現実的でないという声も強まっている。(若林雅人)

◎IAEA報告で議論再燃

<「すり替わった」>
 議論再燃のきっかけは、10月中旬に福島の除染現場を視察したIAEAの専門家チームが環境省に出した報告書。「(国際基準の)年間1~20ミリシーベルトの範囲内でいかなるレベルの個人放射線量も許容しうる」と指摘した。
 自民党東日本大震災復興加速化本部は11月、報告書を引用する形で「1ミリシーベルトは長期目標で、除染活動のみで短期間に達成し得えないことの説明に努めるべきだ」と安倍晋三首相に提言した。
 1ミリシーベルトは空間線量から推計した年間追加被ばく線量を指し、空間線量で毎時0.23マイクロシーベルトが相当する。一方、避難指示解除の目安となる年間20ミリシーベルトは単純に積算線量で判断する。
 1ミリシーベルトが除染目標となったのは民主党政権時代の2011年10月。当初は5ミリシーベルトを目安に検討されたが、地元の反発を受け1ミリシーベルトに転換した。
 実際の除染は「下げられるところまで下げる」(環境省)ことを当面目指し、1ミリシーベルトは長期目標の位置付けだ。政府の原子力災害対策本部関係者は「目標がいつのまにか安全基準にすり替わってしまった」と指摘する。

<不安募る低線量>
 12年1月に「帰村宣言」を出した福島県川内村は同年4月の警戒区域解除以降、村民約2800人のうち約1460人(約53%)が帰還。遠藤雄幸村長は「未帰還の理由は低線量被ばくの影響、健康への影響に対する不安が最も多い」と話す。
 村内約1200戸の住宅の除染は完了したが、村によると、1ミリシーベルトの目安となる毎時0.23マイクロシーベルトの空間線量を上回る住宅が約4割を占める。約200平方キロの村面積のうち、約170平方キロを占める森林の除染は手付かずで、除染費用は約1000億円を見込む。
 産業技術総合研究所の試算では、県内の国直轄の除染特別地域と市町村が担う除染実施区域で年間被ばく線量1ミリシーベルト未満まで下げる場合の除染費用は2兆5300億~5兆1300億円。国がこれまでに除染費用として計上したのは1兆1500億円で、最大約4.5倍になる計算だ。
 遠藤村長は「広大な面積を本当に除染してくれるのか。本当にできるのか」と不安を隠さない。
 避難住民と自治体にとって、安全基準か目標かの境界が曖昧な「1ミリシーベルト」。帰還と除染の先行きに影を落としている。

◎「10ミリでも…帰りたい」/「妥協」不安視する声も

 募る帰還への思いと安全の間で、どう折り合いを付けるべきか。福島第1原発事故の被災者が、政府の除染目標「年間被ばく放射線量1ミリシーベルト以下」に揺れている。避難生活が長引く中、さまざまな感情が浮かんでは消えていく。

<「非現実的だ」>
 「(被ばく線量が)5ミリシーベルトでも10ミリシーベルトでもいい。早く帰りたい」
 全町避難が続く福島県浪江町から二本松市の仮設住宅に避難している種苗店経営佐藤秀三さん(68)は早期帰還を望む。
 町は住民が戻れる線量値を1ミリシーベルト以下と決めているが、佐藤さんは「除染で1ミリシーベルト以下にするのは非現実的だ」と町の方針に疑問を持つ。
 町内の自宅で妻と長女夫婦、孫の5人で暮らしていた。原発事故後は散り散りの避難を強いられ、代々続けてきた種苗店も休業状態のままだ。
 町内での営農は見通しが立たない。町に戻っても、顧客がいなければ店の再開は難しい。それでも「浪江には先祖代々の墓がある。何より故郷への愛着は捨てられない」と帰還の意思は固い。
 事故から2年9カ月。時の流れとともに「町民の帰還意欲が下がっている」と感じる。町の知り合いと話すたびに、その思いが強くなる。
 「1ミリシーベルトの目標にこだわるほど、帰還する人はいなくなる」と佐藤さん。政府が避難指示解除の条件にしている「年間積算線量20ミリシーベルト」を挙げ、「1と20の間で基準値を見直して、帰還する道筋を早く示してほしい」と続けた。

<判断つかない>
 昨年7月に避難区域が再編され、事業活動の一部が再開した福島県飯舘村。住民帰還は始まっていないが、復興庁は11月、避難村民に帰還に向けた意向調査を実施した。
 福島市に避難している無職大谷竜久さん(38)にも調査票が送られてきた。帰還の意思を尋ねる質問に大谷さんは「現時点でまだ判断がつかない」の選択肢を選んだ。
 「新たな地で家を新築する資金はないが、時間がたつほど帰れない理由が増える」。迷った末の選択だった。
 小2の長女、幼稚園児の長男、4月に生まれた次女、妻と両親の7人暮らし。子どもたちの将来を考えると「同級生も減る。村の学校に通わせる意味があるのだろうか」と思う。
 戻りたい気持ちは残るが、安全が大前提だ。村は独自に「年間5ミリシーベルト以下」を帰還のための目標に掲げる。
 大谷さんは「仮に除染が進まないから目標値を上げるとすれば、単なる妥協だ。帰還の条件が甘くなれば(被ばくへの不安で)村に見切りをつける人が増えるのではないか」と話す。(桐生薫子、横山浩之)

2013年12月13日金曜日
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