続けて死んだ2人の乳幼児の死因がSIDSとされ刑務所に送られた母

 本来は、今回の話を先にして、以下の記事を後にすべきだったが、私の投稿もあべこべになってしまった。

▼確率論~虐待されていた女性が殺害された場合には、誰を犯人として疑うのか?
http://blogs.yahoo.co.jp/henatyokokakumei/38607287.html

 さて日本の裁判で確率論が持ち出されているのかどうか寡聞にして知らないが、陪審員制を採用している英米ではそのようなこともあるようだ。よって検事あるいは弁護士の確率論に騙されて誤った判断が下されることもあるようだ。もし確率論がだされたとしても、人があらゆる選択肢に思いを巡らし可能な限り全体を把握しようとすれば、一つの問いかけに騙されることもないのだが、人は騙されやすく、だからこそ刑事も検事も弁護士も裁判官も安閑とした日々が過ごせるわけだ。

 捕まった人間は世間ではおおむね有罪だと思われているから、裁判で行われていることがたとえトンデモであっても、ほとんど誰も気にしないし、たいがい他人の痛みは我慢できるから、実際の不幸が我が身かその周辺に及んでこないかぎり、人は何の関心も向かない。韓国映画『折れた矢』は実際にあった事件を題材にしているのだが、その映画の主演のアン・ソンギが言うのだ――確かにひどい裁判だが、昔はもっとひどかった。だから遅遅としているが世の中は良くなっていくだろう、というような発言をしていたと思うが、貧富の階級が形成されそうな世の中でそれが可能なのかは分からない。要するに、弁護士、検事、裁判官が同じ富裕層からしか出ないという悪夢だ。日本はといえば貧乏人があふれる出るような世の中でありながら、国会議員といえば右翼のゴロツキ議員ばかりという恐ろしさだ。どう考えても貧乏人が墓穴を掘る投票行動をしているとしか思えないが、多くの貧乏人といえば多分、ゴロツキ法務大臣が死刑執行すれば多分喜ぶ人の方が多いのだろう。よって無実の死刑囚が処刑されたとしても、多くの人はその事実も知らないだろう。

 久間三千年さんには及ばないだろうが、世の中には運が悪い人はいるのもので、乳幼児突然死症候群で2人の乳児を失いながら、それ故に逮捕されて刑務所送りになった女性もいる。もちろん幼児虐待のニューズも流れる時勢ゆえ、それと関連づけられて、運が悪いと思う人の比率は幾分さがるかもしれない。しかし、それが証拠もなしに裁判で確率論だけで有罪にされてしまう現実は形容しがたい恐ろしさだ。もちろん確率論で簡単に騙される陪審員団も悪いのだが、騙す検事も弁護士も悪い。

 というわけで、英国のサリー・クラーク事件を以下の引用で見て欲しい。「われわれが求めるべき確率は、2人の乳幼児がSIDSで死ぬ確率ではなく、死んだその2人の乳幼児がSIDSで死んだ確率である。」とあるが、あらゆる選択肢を把握しようとすれば、思い込みの罠から解放されるだろう。俯瞰的視線で見るだけでなく、地面の這う虫の視点で見るようにすれば、目の前の死体をい見逃すはずもなく、死んだ乳幼児から見た選択肢も思いつくはずだ。

▼乳幼児突然死症候群
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%B3%E5%B9%BC%E5%85%90%E7%AA%81%E7%84%B6%E6%AD%BB%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4
乳幼児突然死症候群(にゅうようじとつぜんししょうこうぐん、SIDS:sudden infant death syndrome(シッズ))とは、何の予兆もないままに、主に1歳未満の健康にみえた乳児に、突然死をもたらす疾患である。英語で「ゆりかごの死」という意味でコット・デス(cot death)、クリブ・デス(crib death)ともいう。2005年4月18日、厚生労働省が公表したSIDSに関するガイドラインによると「SIDSは疾患とすべきでない」という意見もある。

・・・

危険因子と予防[編集]アメリカ小児科学会は1992年に、SIDSの発生率は、乳児を仰向けに寝かせることで有意に減少させられるという声明を発表した[注 1]。日本小児科学会でも、健康な乳児は仰向けに寝かせることを推奨している。

「うつぶせに寝かせない」の他、日本小児科学会が推奨する予防法は以下の通りであり、これらの積極的な実行によって死亡率が有意に減少することが明らかになっている。

乳児の近くで喫煙しない、妊娠中に喫煙しない
乳児に過度に服を着せたり、暖めすぎたりしない
厚生労働省も同様のキャンペーンを行い、両親へのSIDSの知識の啓蒙に努めている。また厚生労働省は、なるべく人工乳ではなく母乳で育てることも推奨している(人工乳がSIDSを引き起こすということではない)[1]。しかしまた、喫煙女性の母乳、あるいは受動喫煙の状況にいる女性の母乳には、ニコチンが含まれる[2][3]。

これらの予防策によって確実にSIDSを予防できるものではない。なお、カリフォルニア州オークランドの医師らの調査で、扇風機が予防に効果的との結果が出た。

その他で、SIDSのリスクを高めるとされている因子としては、マリファナ・麻薬・低体重出生などが指摘されている。

問題点[編集]乳児が突然死亡した場合、過失や犯罪による死亡なのか、避けられない疾患による病死だったのかについて、しばしば問題となる。

欧米諸国では厳密に解剖(剖検)によって呼吸器や神経系などの器質的疾患を除外した後にSIDSの診断を行うが、日本では解剖の習慣はあまり定着しておらず、剖検の行われないままにSIDSと診断されるケースも多い。そのため、事故や虐待を隠すことになっているのではないかという指摘がしばしばなされており、そのような立場からSIDSの問題点を訴える団体も存在する。

SIDSの診断を巡っての訴訟が、日本を始め各国で発生しており、それらの大半は、SIDSと診断されたが、遺族が納得せず、窒息死などではないのかと反論するケースである。さらには、SIDSと診断された後に、乳児虐待の事実が判明するケースなどもあり、しばしばマスコミを通じて話題になることがある。

また、遺族は単なる悲しみだけではなく、何とか予防できたのではないかという罪の意識に苦しむことがあり、遺族の心のケアも重要である。


▼レナード・ムロディナウ 『たまたま―日常に潜む「偶然」を科学する』 田中 三彦/翻訳、 ダイヤモンド社 、2009/9/17)

頁178――

 ところがその子が死んだとき、彼女は逮捕され、2人の子供を窒息死させたとして告訴された。裁判で検察側は小児専門医のロイ・メドー卿を呼び、SIDSがめったに起きない病気であることを根拠に、2人の乳幼児がSIDSで死ぬ確率は7300万分の1であることを立証した。検察側は、彼女に対してほかにこれといった重要な証拠を提示しなかった。・・・略・・・

 サリー・クラークが誤って刑務所送りになったことを理解する鍵は、ふたたびあべこべの誤謬を考えることだ。われわれが求めるべき確率は、2人の乳幼児がSIDSで死ぬ確率ではなく、死んだその2人の乳幼児がSIDSで死んだ確率である。クラークが刑務所に送られてから2年後、英・王立統計学会はプレスリリースでこの問題を比較検討し、陪審員の決定が根拠にしたのは、「訴追者の誤謬として知られる深刻な論理の誤りである。陪審員団は、乳幼児の死に対する2つの競合する説明を比較して評価する必要がある。すなわち、SIDSか殺人か、を。SIDSによる2度の死であれ、2度の殺人であれ、どちらもきわめて蓋然性が低いが、この場合明らかにそのうちの1つが起きている。重要な問題はその死の相対的な蓋然性であって・・・・・・(SIDSの説明が)どれほど蓋然性がないか、ではない」と断じた。
 ある数学者がその後、1つの家族がSIDSまたは殺人によって2人の乳児を失う相対的蓋然性を評価した。彼は利用可能なデータにもとづき、2人の乳児は殺人の犠牲者であるとするより、SIDSの犠牲者であるとするほうが、9倍蓋然性が高いと結論づけた。
 クラーク家は上訴し、その上訴のために、専門家の証言者として独自に複数の統計学者を雇った。クラーク家は上訴審で負けたが、死に対する医学的説明を求めつづけ、その課程で、第2子は死ぬとき細菌感染にかかっていたという事実を、検事側の病理学者が抑え込んでいたことを暴いた。第2子の死はその感染によってもたらされた可能性があった。この新しい事実をもとに、裁判官が有罪判決を破棄し、サリー・クラークはほぼ3年半の刑務所暮らしから解放された。

※同書、6章末訳注 :「あべこべの誤謬」
ベイズの理論では、「Bが起きる場合にAが起きる確率」と「Aが起きる場合にBが起きる確率」とは異なることを示しているが、前者を論ずるときに後者を論じたり、後者を論ずるときに前者を論じたりする間違いを、著者は「あべこべの誤謬」と称している。


******

 なんのことはない、検察側が検察に不利な証拠を隠していたというオチまでついて、日本の冤罪事件がすぐ想起される。そう、富山氷見冤罪事件、2002年に起きた婦女暴行・同未遂の冤罪事件で、再審無罪となった柳原浩さんの場合、検察は被疑者のアリバイの証拠がありながら、それを隠して被疑者を犯人にでっち上げていた。
 捕まった人間はおおむね有罪なのだから、ちょっとばかり事実に上乗せして重犯罪人に仕立てたとしてもそれほど問題があるわけでもないと考える刑事や検事や裁判官は確実存在する現実の中で、富山氷見えん罪事件のように無実で犯人にでっち上げた法曹関係者がいたことを心底から恥じる人間がどれだけいるのかと問うたときに、日本ではいったいどんな回答が容易されているのだろうか?

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