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世界中が禁止するラウンドアップ 余剰分が日本市場で溢れかえる

世界中が禁止するラウンドアップ 余剰分が日本市場で溢れかえる

遺伝子組換え作物輸入とセットで広がる

 https://www.chosyu-journal.jp/shakai/11791

モンサント社に抗議するスイスのデモ(18日、バーゼル)

 毎年5月には「反モンサント・デー」(現在は「反バイエル・モンサントデー」)と称して、世界中の農民や労働者など広範な人人が一斉に抗議行動をおこなっている。今年も18日にフランスやスイス、ドイツ、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど数百の都市で一斉にデモ行進をおこなった。行動の主眼はモンサントが開発したラウンドアップを含む除草剤への抗議だ。ラウンドアップの発がん性や遺伝子への影響が問題になり、2013年に始まった「反モンサント・デー」は今年で7回目を迎える。抗議行動の高まりのなかで世界各国ではラウンドアップの使用禁止や販売中止、輸入禁止が主な流れになっている。ところがそれに逆行して日本では内閣府食品安全委員会が「ラウンドアップは安全」と承認し、農協が使用を推奨し、ホームセンターなどでも販売合戦に拍車がかかっている。世界中で規制が強化され販売先を失ったラウンドアップが日本市場になだれ込んでいるといえる。ラウンドアップとはどういう除草剤で、なぜ世界各国で使用禁止になっているのかを見てみたい。

 

 フランスでは18日、「反バイエル・モンサント」デモに世界中から数千人が参加した。この行動に参加したのち、「黄色いベスト」運動のデモにも合流している。フランスは世界第3位の農薬消費国で、ラウンドアップに対して関心が高い。世界中で200万人以上が参加した第1回目の2013年の行動以来、2015年のデモには世界40カ国以上、約400都市で行動がおこなわれるなど、年年規模が大きくなっている。

 

フランスのロリアンでの抗議デモ(18日)

 今年1月、フランス当局は安全性に問題があるとして、ラウンドアップ除草剤とその関連商品の販売を禁止した。ラウンドアップはベトナム戦争で使われた「枯葉剤」をつくったモンサントが1974年に発売した除草剤で、グリホサートを主成分としている。このグリホサートが猛毒を含んでおり、2015年に世界保健機関(WHO)の下部組織「国際がん研究機関」が「おそらく発がん性がある」と発表し、17年には米国政府の研究で急性骨髄性白血病との関連が発表された。発表したのは米国の国立がん研究所、国立環境健康科学研究所、環境保護庁、国立職業安全健康研究所の共同プロジェクト。急性骨髄性白血病は急速に発達するがんで、5年の生存確率は27%とした。

 

 同年にはカリフォルニア州がラウンドアップを発がん性物質のリストに載せた。今年2月にはワシントン大学の研究チームが「グリホサートにさらされると発がんリスクが41%増大する」との研究結果を発表した。

 

 グリホサートは発がん性はもちろん、植物を枯れ死させてしまうが、同様に土壌細菌や腸内細菌も損なう。腸内環境を破壊することでアレルギーなど自己免疫疾患などの原因になったり、神経毒として自閉症や認知症を誘発する可能性が指摘されている。また、生殖に与える影響も懸念されている。精子の数の激減、胎児の発育に影響を与える可能性だけでなく、世代をこえて影響する危険を指摘する研究結果も発表されている。ベトナム戦争で撒かれた枯れ葉剤によってつくられたダイオキシンは三代にわたって影響を与えるといわれるが、グリホサートにも同様に世代をこえた影響が出る可能性も指摘されている。

 

ホームセンターで販売されているラウンドアップ

 ラウンドアップの危険性が問題にされた歴史は古く、1996年にはモンサントが「食卓塩より安全」「飲んでも大丈夫」「動物にも鳥にも魚にも“事実上毒ではない”」と宣伝していたことに対し、ニューヨークの弁護士が訴訟を起こした。2001年にはフランスでも消費者の権利を守る運動をおこなっている活動家が訴訟を起こした。争点になったのはグリホサート使用による土壌の汚染問題で、EUは「環境に危険であり、水生動物にとって毒である」とした。2007年にモンサントは「嘘の広告」で有罪判決を受け、2009年に判決が認められた。

 

 2003年にはデンマークがラウンドアップの散布を禁止した。グリホサートが土壌を通り抜けて地下水を汚染していることが明らかになったことによるものだ。

 

 2008年の科学的研究では、ラウンドアップ製剤とその代謝産物が試験管の中でかなり低い濃度であっても、人間の胚、胎盤、へその緒の細胞に死をもたらすことが明らかになった。代謝産物とは、分解されて除草剤の役目をしなくなった状態のもので、分解されても動物には同じように死をもたらすことが明らかになった。

 

 2009年のネズミの実験では、思春期の時期にラウンドアップにさらされると生殖の発達に障害を起こす「内分泌腺撹乱」の可能性が発見された。「内分泌腺の撹乱」とは、脳内ホルモンのバランスを崩すことで、体が思うように動かなくなったり、気分を自分でコントロールすることが難しくなることをいう。

 

 カナダでは2012年末までに全州で芝生や庭での使用を禁止した。

 

 アメリカでは、長年にわたるラウンドアップの使用によるがん発生が広く問題になり、昨年8月、今年3月と5月の3回にわたってラウンドアップを使用してがんになったとしてモンサント社を訴えていた原告が勝訴した。同様の訴訟は1万3000件以上も起こされている。

 

 直近の5月13日には、カリフォルニア州の夫婦が「ラウンドアップが原因でがんを発症した」として賠償を求めた訴訟で、州裁判所の陪審はモンサントに対し約20億㌦(約2200億円)の支払いを命じた。原告1人につき10億㌦という懲罰的賠償額は、2017年にモンサントが農薬部門で得た利益8億9200万㌦にもとづくとしている。この評決を歓迎してアメリカの市民団体は、「何十年もの間、モンサントはグリホサートが無害であると農民、農場従事者、農薬散布者、住宅所有者に思わせていた。世論は明らかに変化している。発がん性のある農薬を市場から閉め出し、生態系を守る農業に移行しつつある農家を支援するときが来た」との声明を発表した。

 

 なお昨年8月の裁判では2億㌦(後に約8000万㌦に減額)、今年3月にも8000万㌦の賠償をバイエル・モンサント側に命ずる判決が下されている。

 

 こうしたなかで、アメリカではすべての州でラウンドアップの全面禁止を求める運動が開始されている。ニューヨーク州ではラウンドアップを「安全な農薬」と宣伝することが禁止されている。

 

次々モンサントを告訴 判決は賠償命じる

 

 フランスでも今年4月、控訴裁判所がモンサントのラウンドアップの一世代前の農薬ラッソーによって農民に神経損傷の被害を与えたとして、モンサントに有罪判決を下した。

 

 ちなみにラッソーは1980年代にアメリカでもっとも多く売られていた農薬だったが、危険性が問題になり米国環境保護局が発がん性の可能性を認め、フランスを含むEUでは2007年に禁止した。だがアメリカと日本では使われ続けている。日本では日産化学が「日産ラッソー乳剤」として現在も販売している。 

 

 フランスはラウンドアップに対しても、今年1月に個人向けの販売を禁止した。政府は今後3年をめどに農家向けにも禁止すると公表している。フランスではまた、1700人の医師がつくる連合体がラウンドアップの市場からの一掃を求めて運動を展開している。

 

 さらに養蜂農家の協同組合がラウンドアップに汚染されたとしてバイエル・モンサントを訴えている。ラウンドアップを多く使用してきたぶどう園などでは、農薬への依存を減らす動きが活発化しており、条件のいい所では100%使用を減らし、条件の厳しい所でも70%農薬の使用を減らす計画であり、ラウンドアップの命運はほぼつきている状況だ。

 

 2014年にはスウェーデンやノルウェーがラウンドアップの使用を禁止した。オランダ議会は2015年末でグリホサートの使用禁止を決めた。ブラジルでも2015年連邦検察官が司法省にグリホサートを暫定的に使用禁止にするよう求めた。ドイツ、イタリア、オーストリアなど33カ国は2~3年後には禁止すると表明している。

 

 スリランカ政府は2014年、ラウンドアップの販売を禁止し、翌2015年にグリホサートの輸入を禁止した。これはカドミウムとヒ素を含む土壌でラウンドアップを使用した場合、飲料水やコメを通して重い慢性腎不全の原因となるとの研究報告を受けてのことだ。

 

 ロシアも2014年4月、ラウンドアップ耐性遺伝子組み換え食品の輸入を禁止した。アラブ6カ国も使用禁止に踏み切っており、ベトナムなどアジア5カ国やマラウィはグリホサートの輸入禁止を決定している。エルサルバドルやチリ、南アフリカ共和国などもラウンドアップの販売を禁止するか禁止に向けて動いている。

 

 流通業界では、昨年8月のアメリカでの判決を受けて、イギリスの流通大手がラウンドアップの販売禁止の検討を始めた。アメリカに本社を置くスーパー・コストコも今年4月、ラウンドアップの仕入れと販売をすべて中止することを発表した。コストコは世界に約768の大型店舗があり、日本にも26店舗ある。

 

別名で店頭に並ぶ日本 政府が「安全」とお墨付き

 

 このようにラウンドアップの危険性への認識は世界的に拡散されており、店頭でラウンドアップが簡単に手に入るのは先進国では日本ぐらいになっている。

 

 世界中からはじき出され行き場を失ったラウンドアップが日本市場に一気になだれ込んできており、除草剤では売上トップの座を占めている。日本では日産化学工業が2002年5月にモンサントの日本での農薬除草剤事業を買収し、ラウンドアップの日本での販売権を引き継ぎ、「優れた効力と環境に優しい除草剤」などと宣伝してきた。

 

 日本政府はすでに世界的に危険性が明確になっていた2016年に「グリホサートの安全性を確認した」との評価書を公表した。この評価書を前提に2017年12月には、グリホサートの残留農薬基準を大幅に緩和した。小麦で6倍、ソバで150倍、ゴマで200倍、ベニバナの種子で400倍というけた違いの大幅緩和だ。しかもこのことをマスコミは一切報道しなかった。これによってグリホサートの残留基準は中国の基準の150倍になった。中国からの輸入野菜が農薬まみれで危険だと問題にしていたが、その中国産野菜の方がまだましという殺人的な状況になっている。

 

 また、ラウンドアップの主成分であるグリホサート剤はすでに成分特許が切れており、さまざまな名前で同剤が販売されている。そのなかには住友化学園芸の「草退治」などがある。

 

 ラウンドアップは日本の店頭では「もっとも安全な除草剤」とか「驚異の除草力」とかいった宣伝文句で販売されている。農協の販売ルートにも乗っており、ホームセンターやドラッグストア、100均などでも大大的に扱っている。またテレビCMや新聞広告もされ、危険性についての説明は一切なく、警戒心なしに購入し使用しているのが現状だ。

 

 モンサント社が遺伝子組み換え作物を開発したのは、ラウンドアップに耐性のある農作物をつくり、セットで販売するためだった。ラウンドアップの販売促進は遺伝子組み換え作物導入とセットでもある。日本は世界で最大級の遺伝子組み換え作物輸入国で、日本の遺伝子組み換え食品表示は世界の制度のなかでも緩いため、日本の消費者は知らないうちに大量の遺伝子組み換え食品を食べさせられている。

 

 モンサントのホームページでは「日本は海外から大量のトウモロコシ、大豆など穀物を輸入しており、その数量は合計で年間約3100万㌧に及ぶ。その半分以上(1600万~1700万㌧=日本のコメの生産量の約2倍)は遺伝子組み換え作物」で「日本の食生活安定に大きく貢献している」とし、ラウンドアップとともに「是非、遺伝子組み換え作物の効果やメリットを目で見て、肌で感じて」ほしいと豪語している。

 

 こうしたモンサントの要求に応えて、日本政府はモンサントの遺伝子組み換え作物をアメリカ政府以上に承認していることも明らかになっている。TPP11の発効や今後の日米貿易協定などを通じて、今まで以上に遺伝子組み換え作物輸入の圧力がかかってくることは必至だ。

 

 モンサント社(昨年ドイツのバイエル社が買収)はアメリカのミズーリ州に本社を構える多国籍バイオ化学メーカー。除草剤ラウンドアップが主力商品で、遺伝子組み換え種子の世界シェアは90%であり、世界の食料市場をほぼ独占している巨大なグローバル企業だ。同社は、人間の健康および環境の両方に脅威を与えているという理由から健康情報サイトでは2011年の世界最悪の企業にも選ばれている。

 

 ラウンドアップが世界中で禁止され閉め出されるなかで、唯一日本政府がモンサントの救世主となって一手に引き受ける段取りをとり、日本市場になだれをうって持ち込まれている。国民の健康や生命を危険にさらし、子子孫孫の繁栄にもかかわる国益をモンサントという一私企業に売り飛ばしていることを暴露している。

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マイクロプラスチック 超音波使い効率良く回収 信大繊維学部のチーム

マイクロプラスチック 超音波使い効率良く回収 信大繊維学部のチーム

https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20191203/KT191129FTI090002000.php

超音波を使ってマイクロプラスチックを集める装置について説明する秋山准教授(右)と森脇教授超音波を使ってマイクロプラスチックを集める装置について説明する秋山准教授(右)と森脇教授
 海洋汚染や食物連鎖によって人間も含めた生態系への影響が懸念されている「マイクロプラスチック」を、超音波を使って回収する方法を、信州大繊維学部(上田市)の秋山佳丈准教授(42)=生体医工学=と森脇洋教授(51)=環境化学=らが開発した。応用すれば、ネットでは回収が難しい微細な粒子も効率良く集められ、洗濯排水や下水などからのマイクロプラスチックの流出を減らすことが期待できる。

 マイクロプラスチックは、おおむね5ミリ以下に砕かれたプラスチック粒子。ペットボトルなどが海に流され、波や紫外線などで砕かれるものもあれば、衣料の繊維など生活排水にも含まれる。一般的に、0・3ミリほどの穴が開いたネットで集められる。穴のサイズを小さくすると目詰まりなどが起き、0・3ミリ以下の粒子は効率良く集めることが困難だった。

 研究チームが開発したのは、マイクロプラスチックを含む液体を流す際に超音波振動を与えることで管の中央に集める方法。マイクロプラスチックが超音波振動によるエネルギーが低い部分に集まる性質を利用し、まとめることに成功した。マイクロプラスチックを含む液体からの回収率は、直径15マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の球状の微粒子で99%。直径10マイクロメートル、長さ200マイクロメートル程度の棒状の繊維は95%ほどだった。

 3年前、森脇教授が秋山准教授にマイクロプラスチックの回収の難しさについて話したのがきっかけ。秋山准教授が血液の細胞分離に超音波を使う方法があると提案し、研究が始まった。

 研究チームは、洗濯機などに取り付けることで、生活排水からマイクロプラスチックを流すことを防げると考えている。現時点では処理速度の遅さが課題。大量に処理できれば、下水や工場廃水のマイクロプラスチックの回収にも道が開ける。

 森脇教授は「プラスチックを使わない生活は難しい。使い方の見直しで汚染を改善する方法を考えていく」。マイクロプラスチックを効率良く集められるため、秋山准教授は「マイクロプラスチックがどのようなものか調べる研究にも生かせる」としている。今回の研究はオランダの科学雑誌に掲載された。

(12月3日)

右派「環境ヒステリー」と猛攻撃 スウェーデンの「環境少女」に

右派「環境ヒステリー」と猛攻撃 スウェーデンの「環境少女」に

https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019092501000915.html

 【ニューヨーク共同】ニューヨークで開かれている国連総会で大きな注目を集めるスウェーデンの「環境少女」グレタ・トゥンベリさん(16)に国際社会で称賛の声が広がる中、地球温暖化に懐疑的な米国の右派メディアや専門家は「環境ヒステリー」などと激しい攻撃を続けている。

 FOXテレビに23日出演した専門家は「両親に洗脳された精神障害のスウェーデン人の子ども」と表現。トゥンベリさんは自分が発達障害の一種アスペルガー症候群と公言しているが、さすがのFOXも「不適切だった」と謝罪し、この専門家を番組から降板させた。

櫻井ジャーナル:なぜ「気候」だけが問題にされるのか

2019.09.24

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 ニューヨークの国連本部で「気候行動サミット」が9月23日に開催されたという。その2日前には「若者気候サミット」も開かれ、宣伝に利用されている。

 環境が人間を含む生物に少なからぬ影響を及ぼすことは間違いない。少なくとも北の海で海水温が上昇していることはロシアが北極海を経由する航路を作れるようになったことでも推測できる。氷が消えたり薄くならなければ、そうしたルートを作ることはできないだろう。

 西ヨーロッパが緯度の割に温暖であるのは暖流(北大西洋海流)が近くを流れているからである。つまり暖流が西ヨーロッパを温暖にしている理由だ。現在、世界の公式見解では「温室効果ガス」が温暖化の理由だとされているが、これはひとつの仮説にすぎない。

 地球の温暖化が世界的な話題になりはじめたのは1980年代からだが、90年代からは太平洋周辺で地殻変動が活発化していると言われるようになった。大きな地震の回数が増え、2017年にはイエローストーンの周辺での地震頻発や野生生物の暴走が注目されている。マグマの上昇が海水温上昇の原因だという説も唱えられている。

 海水温を上昇させることを人間が行っていることも事実。その典型例が温排水の放出だ。温排水を大量に放出する原子力発電所が地球温暖化の一因になっていると言えるだろう。21世紀に入ってアメリカが本格化させた侵略戦争も気温を上昇させているはずだ。戦争は気温だけでなく環境一般に対する直接的な破壊でもある。

 つまり、本当に気候を心配しているなら、原発を止め、戦争に反対しなければならないのだが、前面に出ているのは気候との因果関係が明確でない「温室効果ガス」。

 アメリカでは情報機関も治安機関も戦争に反対する人びとを敵視してきた。CIAのMHケイアスとFBIのCOINTELPROは悪名高い。反戦運動の勢いがアメリカで最もあったのはベトナム戦争のときだろうが、そうした運動はCIAやFBIのターゲットになった。

 ベトナム戦争へアメリカが足を踏み入れたのは朝鮮戦争が休戦になった翌年、1954年のこと。その年の1月にNSC(国家安全保障会議)でジョン・フォスター・ダレス国務長官がベトナムにおけるゲリラ戦の準備を提案したのだ。それを受けてCIAはSMM(サイゴン軍事派遣団)を編成した。当時はドワイト・アイゼンハワー政権。

 ジョン・F・ケネディ大統領は1963年10月、アメリカ軍をインドシナから撤退させるためにNSAM(国家安全保障行動覚書)263を出すが、その翌月に暗殺された。暗殺の4日後に新大統領のリンドン・ジョンソンはNSAM273を出して取り消してしまった。ジョンソンは1965年2月に北爆を開始、本格的な軍事介入を始める。

 戦争が泥沼化する中、1967年4月4日に公民権運動の指導者として知られるマーチン・ルーサー・キング牧師はニューヨークのリバーサイド教会で「なぜ私はベトナムにおける戦争に反対するのか」という説教を行う。この集まりは「ベトナムを憂慮する牧師と信徒」が主催していたが、主催者の執行委員会が発表した声明の冒頭部分に書かれている「沈黙が背信である時が来ている」という主張にキングは賛意を示している。戦争について沈黙することは信義に反するということだ。

 悲惨な戦争の真実を聞くべき時が来ていると牧師は語り、大半の国民が自分自身を欺いているため、そうした真実は明らかにならないとも指摘した。そうした状態を精神的な奴隷状態とも表現している。

 ところが、ロン・ポール元下院議員によると、キング牧師のリベラル派である顧問たちは牧師に対してベトナム戦争に焦点を当てないよう懇願していたという。キングはそうしたアドバイスを無視したのだ。リバーサイド教会での説教からちょうど1年後の1968年4月4日にキング牧師はテネシー州メンフィスのロレイン・モーテルで暗殺された。

 そのころ、アメリカを中心にして盛んになったのが女性解放運動。キリスト教世界に女性差別の歴史があることは確かなようだが、人種差別と同じように、それも支配と被支配の構造的な問題に還元できる。新自由主義(資本主義)における富裕階級と貧困階級の問題も同じ。その根幹には略奪や搾取があり、戦争も引き起こされる。そうした行為を可能にする仕組みが支配システムだ。

 女性解放運動が盛り上がる一方、反戦運動は衰退したが、ここにきて情況に変化の兆しはある。西側の有力メディアのプロパガンダ力が低下するにつれてアメリカが主導して行っている戦争の実態が知られるようになってきたのだ。アメリカの力が衰えていることも明確になっている。

 そうした中、「気候問題」が演出されている。気候を考えることが問題なのではない。気候以外の問題から目をそらし、考えなくなることが問題なのである。そうした方向へ人びとを導こうとしている勢力が存在しているように思える。

19歳の先住民気候変動活動家 「私たちは母なる地球のために闘う」

デモクラシー・ナウ 動画
2019年9月23日(月)
「私たちの時代 私たちの未来」 ニューヨークで歴史的なユース気候変動ストライキ 若者の声

世界各地で最大400万人が20日、街頭に出て抗議を行いました。一日の気候変動アクションとしては最大規模となりました。気候ストを率いたのは、スウェーデンの16歳の気候変動活動家グレタ・トゥーンベリに刺激を受けた世界中の学生たちです。出発点となったニューヨークのフォーリー広場には数万人が行進のために集まりました。フォーリー広場から、「サンライズ・ムーブメント」(the Sunrise Movement)の共同創設者であり代表を務めるバルシニ・プラカシュと気候変動活動家ビック・バレットのスピーチを聞きます。

  • ニューヨーク市では20日、スウェーデンの16歳の気候変動活動家グレタ・トゥーンベリに触発された若者主導による気候変動ストライキがおこなわれ、25万人もの人々が行進しました。世界全体では百をこえる国々で約400万人が街頭行進を行いました。デモクラシー・ナウも街頭に出て、米国および世界各国から来た気候変動ストライキの参加者の声を聞きました。

  • ニューヨーク市で20日に行われた気候変動ストライキの締めくくりは先住民運動のリーダーや活動家、オルガナイザーたちのスピーチでした。ブラジル全土で深刻さを増す環境破壊、気候正義の闘いの相互の結びつきについて語ったのは、シャクリアバ族の19歳の気候変動活動家アルテミサ・シャクリアバです。「私たちが母なる地球のために闘うのは、全ての闘いがそこから生まれるからです」とシャクリアバは言います。私たちはあなた方の生命のために闘っています。私たちは自らの生命のために闘っています。私たちは私たちの聖なる土地のために闘っています。しかし私たちは私たち自身の土地を守っているというそれだけのために迫害され、脅迫され、殺害されています。これ以上一滴でも、先住民の血が流されることを受け入れることはできません」。

  • ニューヨーク市でおこなわれた気候変動ストライキには推計30万人が参加し、スウェーデンの16歳の気候変動活動家グレタ・トゥーンベリがスピーチしました。トゥーンベリは昨年、学校を休んでスウェーデン議会前での抗議活動を始め、やがて抗議は毎週恒例となり、世界中に広がることとなりました。マンハッタンのバッテリー・パークでのスピーチで彼女は「私たちは傍観などしません」と数千人に語りかけました。「私たちは科学を支持し団結します。気候変動の悪化を食い止めるため私たちができるすべてのことを行います」。

  • 20日に行われた若者主導の気候変動ストライキは気候デモとしては史上最大規模となりました。ベテランジャーナリストであり「350.org」の共同創設者であるビル・マッキベンに詳しく聞きます。最近執筆した記事としては、ニューヨーカー誌掲載の「マネーは気候変動という火事を燃え盛らせる酸素だ」(Money Is the Oxygen on Which the Fire of Global Warming Burns)や、タイム誌掲載の「2050年、人類は最悪の気候変動を免れた---しかし景色はすっかり変わってしまった」(Hello from the Year 2050. We Avoided the Worst of Climate Change — But Everything Is Different)があります。マッキベンの1989年の著作The End of Nature(『自然の終焉』)は、気候変動について一般向けに書かれた最初の書籍です。



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