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退任後も嘱託として会社に残り、その月給にカット分の一部を上乗せして補填する抜け道

2020年3月17日

 

夕歩道

https://www.chunichi.co.jp/article/column/yuhodo/CK2020031702000293.html

 闇の中で還流していたのは、原発マネーばかりではなかったようで。大震災後に電気料金を値上げする際、役員報酬カットを約束した関西電力だが、退任後にこっそり補填(ほてん)する仕組みが明るみに。

 現役の役員なら、報酬に怪しげな上積みがあれば株主総会などで表面化する。で、退任後も嘱託として会社に残り、その月給にカット分の一部を上乗せして補填する抜け道が編み出されたらしい。

 原発事故後の逆風の中、一般社員も給与減額や賞与停止で値上げに理解を求めた。消費者は二度の値上げを受け入れた。かの金品受領が発覚しなければ、抜け道補填は今も続いていたはずだとか。


役員報酬削減、こっそり補填 18人に計2億6000万円―関電

 西は16日、東日本大震災後の業績悪化を受け、経営責任を明確にするため役員報酬を削減したにもかかわらず、退任した18人に対し、ひそかに一部を補填(ほてん)していたことを明らかにした。補填総額は約2億6000万円で、18人分の報酬削減額の約13%に当たる。同社は「経営状況が苦しかった時代の労苦を一定程度考慮した」(広報担当)と説明しており、深刻なガバナンス(企業統治)不全が改めて浮き彫りになった。


 関電は震災後の原発停止でコストが掛かる火力発電の燃料費が拡大し、2012年3月期から4年連続で純損失を計上。役員報酬も同年3月から削減してきた。しかし、役員の退任後、「嘱託報酬」などの名目で16年7月から19年10月まで計18人に報酬を支給し、一部を補填していた。

関西電力第三者委 元助役への便宜認定 金品受け取った社員75人

 

関西電力第三者委 元助役への便宜認定 金品受け取った社員75人

関西電力の経営幹部らが福井県高浜町の元助役から金品を受け取っていた問題で、調査を行った第三者委員会は最終報告書をまとめました。金品を受け取っていた社員は75人と、これまでに公表された数から大幅に増え、金品の総額は3億6000万円相当に上るということです。

関西電力は、経営幹部ら23人が原子力発電所がある高浜町の森山栄治元助役から3億2000万円相当の金品を受け取っていたことを去年秋に明らかにしています。

この問題を調査してきた弁護士4人で構成する第三者委員会は、最終報告書をまとめ、14日、公表しました。

この中で、金品を受け取っていた社員の数は75人と、会社が公表した23人より大幅に増えました。金品の総額は3億6000万円相当に上るということです。

また元助役に対して、関西電力の役員や社員が工事を発注する前に工事の内容や発注予定額を伝えたうえで、約束に沿って発注するなど特別な配慮をしてきたとして、便宜を図っていたことを認定しました。

一方、元助役が金品を提供したのは、その見返りとして自分の関係する企業に関西電力から工事を発注させて経済的利益を得るためだったと分析しました。

報告書では原子力事業の閉鎖性を指摘し、正しい意見が実現しにくい状況が見受けられるとしています。

当時の経営陣は、社内調査の内容を取締役会に報告しなかったうえに監査役も取締役会に報告せず、また会長、社長が相談役と協議して対外公表しない方針を、はやばやと決めたことは極めて不適切だと指摘しています。

第三者委員会の但木敬一弁護士は記者会見で「電力の利用者から自分たちの行為がどうみえるのか全く考えていないことが構造を長引かせた1つの原因だ」と述べ、会社の体質を批判しました。

経産省 関電に来週にも業務改善命令へ

経済産業省は、関西電力の第三者委員会が金品受領問題について最終報告書を取りまとめたことを受けて、来週にも業務改善命令を出す方向で検討しています。

関西電力の内藤直樹常務執行役員は14日午後、経済産業省を訪れ、金品受領問題で第三者委員会がまとめた最終報告書について説明しました。

報告書では、原子力発電所がある高浜町の森山栄治元助役から75人の社員が総額3億6000万円相当の金品を受け取っていたことや元助役に対して役員や社員が事前に工事の内容や発注予定額を伝えたうえで、約束に沿って発注するなど、特別な配慮をしてきたことが認定されています。

説明を終えた内藤常務は記者団に対し、「お客様や社会の皆様の信頼を損ねる行いがあったことについて、深くおわびを申し上げる。経済産業省からは、厳正な対処を検討したいと承った。第三者委員会の指摘や提言を真摯(しんし)に受け止め、再発防止や会社の改革に取り組んでいきたい」と述べました。

これを受けて経済産業省は、来週にも関西電力に対し、電気事業法に基づいて、ガバナンス体制の構築や再発防止策などを求める業務改善命令を出す方向で検討しています。

調査の概要と受領の構図

調査の概要と受領の構図
今回の第三者委員会の調査は、去年10月から始まり、関西電力の役員や社員、OBなど214人へのヒアリングや600人以上への書面調査、電子メール等の調査が行われました。

この中で、関西電力の社員らの金品の受け取りは、森山氏が1987年に高浜町の助役を退任した直後から始まり、1990年代、2000年代、2010年代にまんべんなく認められたということです。

2005年に原子力事業本部が福井県美浜町に移転して以降、それまで森山氏とは関係がうすかった役員や社員も金品を受け取るようになったといいます。

第三者委員会は、森山氏が渡した巨額の金品の原資についても調査しました。報告書では、森山氏は関西電力の取引先の建設会社からの役員報酬などとして総額で数億円単位の金銭を受け取っていたほか、関西電力の子会社「関電プラント」から顧問の報酬として、30年余りで6780万円を受け取っていたということです。

報告書では、「森山氏が提供した金品の原資の一部はこうした報酬などから拠出されていて、実質的な原資は取引先や関西電力の子会社だったと評価するほうが実態にあうと考えられる」として、資金の一部が還流していたという認識を示しています。

元助役関係企業への発注約束 120件以上と認定

第三者委員会は、関西電力の役職員が森山氏の要求に応じる形で、森山氏の関係する企業に工事を発注することを事前に約束し、実際に発注したケースもあったとしています。

こうした発注の約束は遅くとも2000年代から行われ、その件数は120件以上に上ると認定しました。

事前発注約束は個別の工事の発注を約束するケースと年度ごとの発注予定額を約束するケースに分けられるということで、報告書には具体的な事例が示されました。

このうち個別工事の発注約束では、森山氏が顧問を務めていた「吉田開発」への発注を具体例としてあげています。

報告書では、2012年4月に当時の高浜発電所長から原子力事業本部長らに送ったメールの内容が明かされています。

「先生」と呼んでいた森山氏との電話のやり取りを伝える文面で「いつもながらの工事要求。機嫌は普通。以下、先生の指示。『明後日会うときに、いい話(工事)を持って来い。びっくりするような。』最近、再三にわたり吉田開発に工事を持って来いとの要求。上期に子会社経由で4000万円のA工事を約束したが、それではもの足りない?様子。明後日会うときには、さらに6000万円程度のB工事を出す予定。これでことしは計約1億円」などと書かれています。

そして3日後、高浜発電所長が森山氏と会った結果を報告するメールには「B工事(4000万円)を提案し、了解。この程度か、との感触を示されたが、とりあえず今回はこの程度にしておいてやる、とのこと。その後、全員での会食になり、至極ご機嫌」などと書かれています。

メールにあったB工事は、緑地帯の整備やアスファルト舗装などの工事で、最終的におよそ3000万円で吉田開発に発注されたということで、第三者委員会は約束していた4000万円には満たないものの、森山氏の要求に応じて関西電力が工事の発注を約束し、その約束に従って工事を発注したと認定しています。

一方、年度ごとの発注予定額の約束では、森山氏が相談役を務めていた「柳田産業」のケースを具体例としてあげています。

関西電力の電子データを復元したところ、この会社との間で行った各年度の交渉経緯を時系列でまとめた電子ファイルが見つかったということです。

このファイルには、2004年度=平成16年度分に関して「11月上旬に相談役会談を予定している。内容は34.5で手打ち」と記されていて、この年度に34億5000万円の発注を約束することを示しているということです。

このファイルからは、関西電力が森山氏らと柳田産業に対する発注予定額を事前に協議していたことがわかるということです。

ファイルには「各発電所キーマンに対してH16年度実勢34.5について通知。未達無きよう指示」などという記述もあり、原子力事業本部が森山氏と合意した発注予定額を美浜、高浜、大飯の各原発の担当者と共有し、約束した額を達成するよう指示していたとしています。

第三者委員会は5年度分を例示し、いずれの年度も35億円前後の発注を約束し、実際に、ほぼ同額か、それを超える額を発注していたと認定しています。

経営上の問題と防止策

報告書では、問題が発覚したあとの関西電力の対応についても極めて不適切な点があったと指摘しています。

関西電力は2018年はじめの税務調査をきっかけにこの問題を把握し、社内調査に乗り出しました。

しかし、この調査は過去7年に限定し、対象者の範囲も狭く、不十分だと指摘しています。

さらに経営陣は調査内容を取締役会に報告しなかったうえに、監査役も取締役会に報告しなかったとしています。

また、当時の八木誠会長と岩根茂樹社長が元会長の森詳介相談役と協議を行い、この問題を対外的に公表しない方針を早々に決めたことは極めて不適切で、3人の責任は特に重いとしています。

こうした行為は株主や電力利用者に対する背信行為で、問題を隠蔽したとのそしりを免れないと厳しく指摘しています。

そのうえで、問題の再発防止に向けて、利用者の目線でコンプライアンスを意識するよう求めるとともに、会社の内向きな体質を是正するため、現在空席となっている会長には社外から知見のある経営者を招き、ガバナンスを強化することが有効だとしています。

原子力事業の閉鎖性も指摘

報告書では原子力事業の閉鎖性も指摘しています。

金品を受け取った役員や社員の多くが原子力事業に関わっていました。

報告書では原子力事業は技術的に特殊であるうえに政治問題・社会問題になりやすいという点、原発の再稼働が経営に大きな影響を与えるなどの理由で閉鎖的な村社会が形成され、正しい意見が実現しにくい状況が見受けられるとしています。

関西電力は2004年に起きた美浜原発の事故後、原子力事業本部を大阪の本店から福井県美浜町に移転しました。

第三者委員会の但木弁護士は、事業本部の移転について「美浜に移転したあと本社のコントロールがきかず、独立王国みたいになっていた。原子力事業本部が病根だというのは本当だ。本社からガバナンスを担当する部署が監視すべきだったが、できておらず、今回の問題の大きな要因となった」と述べました。

後任社長は森本氏

関西電力の経営幹部らによる金品受領問題について、第三者委員会が調査を終えたことを受けて、関西電力は岩根茂樹社長が一連の不祥事の責任をとって14日開いた臨時の取締役会で辞任し、森本孝副社長が、後任の社長に昇格する人事を発表しました。

森本新社長は64歳。2005年7月に原子力事業本部が大阪市の本店から福井県美浜町に移転して以降、原子力事業本部に勤務した経験はありません。

2007年に執行役員に昇格してからは、営業や企画の部門を歴任してきました。2016年6月からは、副社長を務めてきました。

第三者委員会によりますと、森本氏は、75人の金品受領者には含まれていないということです。

福井県 杉本知事「立地地域として遺憾で憤り」

第三者委員会が総額が3億6000万円相当にのぼることや発注などで特別な配慮をしていたことなどを認めた最終報告書をまとめたことを受けて、福井県の杉本達治知事は「社内調査よりもさらに金品受領の人数や金額が広がり、立地地域として遺憾で憤りを感じている。関西電力は国の指導・監督のもとコンプライアンスの徹底などに努めてほしい」と述べ、国民の信頼の回復に取り組むよう要請しました。

そのうえで、関西電力が今後、福井県内で計画している原発の再稼働については「信頼関係が損なわれている状況で、関西電力が再発防止策をまとめ県民の信頼を回復することが、今後の原子力政策を進める大前提になる」と述べ、現時点で再稼働の是非について判断できる状況ではないとする考えを示しました。

高浜町 野瀬町長「新体制を見極めていく」

第三者委員会が最終報告書をまとめたことを受けて、地元・高浜町の野瀬豊町長は「社内調査よりも特定の個人と事業者のいびつな構造が明らかになったと思う」と評価したうえで、「原子力事業にとって地域との共生は必要なので、自治体と電力会社の双方で話し合いながら新しい仕組みを作っていかなければならない」と述べました。

また、関西電力が計画している運転開始から40年を超える高浜原発1号機や2号機の再稼働については「第三者委員会の提言を新体制の中でどう反映させていくか見極めてから考えたい」と述べ、再発防止策の実施状況などを見たうえで再稼働への同意の是非を判断する考えを示しました。

地元住民「裏でこそこそやめて」

地元の高浜町の住民に話をききました。

このうち40歳の女性は「金額の問題ではなく、今回の件でまだ隠していることがあるのではないかと不信が強まったことが問題だと思います」と話していました。

また、18歳の男性は「自分たちの世代がこれからの新しい町を作りたいという思いがあるので、裏でこそこそするのはやめてほしいです」と話していました。

また、76歳の女性は「お金を渡してうまく便宜を図ってもらって、真面目にやっている会社がかわいそうです。関西電力にはもっと透明性をもって町民にもわかりやすい形で仕事をしてほしいです」と話していました。

龍谷大学 大島教授「関西電力は公益性を忘れてしまった」

第三者委員会の報告書について電力会社の経営に詳しい、龍谷大学の大島堅一教授は「関西電力が原発に依存した経営をする中で非常に長期間にわたって森山氏との安定した関係を築くことが至上命題となり、お金で問題を解決する体質があったことがはっきりした。関西電力は電力を供給しているという公益性を忘れてしまったといえる」と指摘しています。

そのうえで「金品授受の総額や人数も大幅に増え当初の調査が非常に甘かったということがはっきりした。原子力発電は公開性や透明性が求められるのに、こうした金品のやり取りを隠そうとしてきており非常に深刻な問題だ」と述べました。

そして「原子力事業に対する不信感は、今回の問題で非常に高まったので関西電力は深く受け止めて根本的に体質を変えなければならない。電力会社は『地元さえ押さえればいい』という認識を持ちがちなので立地自治体との関係も改めて見直す必要がある」と指摘しています。

東洋大学 井上准教授「強い自制の仕組みを」

原発と立地地域の関係に詳しい東洋大学の井上武史准教授は、「地元企業の参入を増やすこと自体は決して、否定されるべきではないが森山氏の介入で偏った受注構造になり、他の地元企業が参入の機会を失うとすれば、地域全体の活性化にはつながらない可能性がある」と述べ、事業発注の公平性が必要だと述べました。

そして、問題の発覚後、経営陣が対外的に公表しない方針を決めたことについて、「関西電力は原子力の割合が高く、原発が稼働しないと、経営に大きな支障が出るため、過去の問題が表に出てくるのは不都合だという考えがあったではないか。福島第一原発の事故の後、原子力に対する信頼は大きく低下し、透明性のある正しい情報を国民が冷静に判断することが原子力の安全安心の獲得の方法になっているなか、そうした国民の意識に対応できておらず、さらに信頼を低下させたといえる」と関西電力のコンプライアンス意識の低さを指摘しました。

そのうえで、「コンプライアンスや説明責任はあらゆる企業が追求する必要があるが、原発を扱う電力会社は、一般企業よりはるかに強い自制の仕組みを整える必要がある。一社の問題ではなく、電力業界全体を見据えた責任ある対応を取ってもらいたい」と述べ、一段の企業体質の改善を求めました。

関電幹部らを告発している団体「検察は強制捜査を」

関電幹部らを告発している団体「検察は強制捜査を」

関西電力の金品受領問題で経営幹部らを刑事告発している団体の弁護士らが会見を開き、第三者委員会の調査は不十分だとして検察による強制捜査の必要性を訴えました。

会見したのは、福井県や関西などの住民が参加する市民団体で、3300人を超える告発人を集めて、金品を受け取っていた関西電力の経営幹部の告発状を大阪地方検察庁に提出しています。

会見した河合弘之弁護士は、第三者委員会が公表した報告書について「まだ闇に包まれた未解明な部分が大きい。迷惑施設である原発を受け入れてもらうために利権を形成し、その利権を一部の人や業者が享受していたという本質の考察も欠落している」と述べ、調査が不十分だという見解を示しました。

そして、第三者委員会の但木委員長が記者会見で、刑事責任を問うのは難しいとの認識を示したことに対し「関西電力が原子力推進のために森山氏との関係を継続的に利用したことは否めず、刑事責任を問うことが難しいというのは理解できない。真実を明らかにできるのは強制権限を持つ検察しかない」と述べ、検察に強制捜査を行うよう訴えました。

川内原発1号機 16日停止へ テロ対策間に合わず

川内原発1号機 16日停止へ テロ対策間に合わず

鹿児島県にある九州電力の川内原子力発電所1号機は、国の新しい規制基準で設置が義務づけられているテロ対策などの施設が期限内に完成しないとして16日、運転を停止します。このあと原子炉を止める作業に入る予定で、新しい規制基準に基づいて稼働中の原発が停止するのは今回、初めてです。

原子力規制委員会は、福島第一原発の事故の後につくられた新しい規制基準に基づいて、テロや航空機の衝突といった緊急時にも原子炉の安全を守れるよう、予備の設備を備えた施設の設置を工事計画が認可されてから5年以内に完成させることを義務づけています。

これについて九州電力は、川内原発1号機では施設の完成が期限までに間に合わないとして、定期検査を前倒しする形で運転を停止することを決め、16日午前2時半ごろから原子炉の出力を下げる作業を開始します。

16日午前9時ごろには発電と送電を停止する予定で、その4時間後の午後1時ごろに原子炉を止めて運転を停止します。九州電力では、ことし12月までに施設を完成させ、規制委員会の検査を受けたうえで原子炉を起動するとしています。

7年前につくられた新しい規制基準に基づいて稼働中の原発が運転停止するのは、今回が初めてです。

九州電力は、川内原発2号機もテロ対策などの施設が期限に間に合わないとしてことし5月に運転を停止する予定です。

なぜ原発停止に?その経緯

原子力規制委員会は、テロや航空機落下などの対策施設の完成の期限を、当初は新しい規制基準がつくられた2013年から5年以内としていました。

しかし、原子力発電所の再稼働に必要な審査が長期化し、それに伴って施設の審査も遅れたため、規制委員会は期限を1度見直しました。再稼働の審査に合格したあと、電力会社が受ける設備や機器の工事計画の認可から5年以内としたのです。

しかし去年4月、再稼働した原発を抱える九州電力と関西電力、四国電力を含めた電力各社は施設の工事が大規模になっているとして、期限内の完成が難しいと表明し、再度の期限延長などの対応を規制委員会に求めました。

これに対して規制委員会は期限の延長は認めないとして、施設の完成が間に合わない原発は運転停止を命じることを決め、電力各社に伝えていました。

なぜ5年期限なのか

テロや航空機の墜落などに備える施設の完成が、期限内に間に合わない原発の運転停止を決めた原子力規制委員会の判断について、一部の電力関係者などからは異論もだされていました。

それは5年という期限に根拠がないというものです。計画的に電力供給を行っている電力会社は、原発の停止によって収益や電気の安定供給に影響があるとしています。こうしたマイナスの影響に比べて、テロの発生や航空機の落下といったリスクがどれだけ差し迫ったものなのか明確な説明がなく、5年という期限の根拠があいまいだというものです。

これに対して規制委員会は、5年に明確な根拠はないもののどこかで期限を設定する必要があるとしています。

原子力規制委員会の更田豊志委員長は福島第一原発の事故を防げなかった当時の原子力安全・保安院が巨大津波の評価や対策について電力会社に明確な期限を求めなかったことなどが事故の遠因だとして、「もう少し期限を延長してほしいと繰り返していたら安全は望めない。これはいつか来た道に戻るか戻らないかの分かれ道だ」と会見で述べています。

そのうえで、「施設の完成の期限は過去に1度延長したことがあり、今度はきちんと守られるべきだ。継続的な改善に向け、規制委員会と電力会社の決意の表明なので、いたずらに延ばすべきではない」と運転停止の判断について語っています。

期限が迫る原発はほかにも

新しい規制基準が義務づけるテロ対策などの施設の完成が期限内に間に合わない見通しの原子力発電所は複数あります。

今回、停止する九州電力の川内原発1号機の期限は今月17日です。このほか、期限が近いものでは、川内原発2号機がことし5月、福井県にある関西電力の高浜原発3号機がことし8月、高浜原発4号機がことし10月、それに愛媛県にある四国電力の伊方原発3号機が来年3月となっています。

このほかにも来年以降、福井県にある関西電力の高浜原発1号機と2号機、美浜原発3号機、大飯原発3号機と4号機で施設の完成が期限までに間に合わない可能性があるとしています。

電力各社は、期限を迎える前に順次、原発の運転を停止して定期検査に入り、施設の完成に向けた工事を急ぐとしています。

「特定重大事故等対処施設」とは

この施設は「特定重大事故等対処施設」と呼ばれ、テロリストに襲われた場合や航空機が落下して重要な設備が壊れたケースなどを念頭に、バックアップ用の制御室や原子炉を冷やすための電源やポンプなどを備えるものです。

東京電力・福島第一原子力発電所の事故を教訓に7年前につくられた新しい規制基準で設置が義務づけられました。施設は原子炉から100メートル以上離れた場所に設置することになっていますが、具体的な場所はテロ対策上、明らかにされていません。

原発を停止させ対策完了目指す「バックフィット」とは

東京電力・福島第一原子力発電所の事故の後につくられた原子力規制委員会は、必要と判断した場合には、電力会社に原発の運転を停止させたうえで対策の完了を目指す方法を導入しました。通称「バックフィット」と呼ばれています。

事故の前の規制機関だった原子力安全・保安院は、同じようなケースでは電力会社に原発の運転を継続しながら対策を完了することを認めていましたが、これでは、いつ起こるか分からないリスクに十分対応できないとしてより厳しい方法が導入されました。

元首相は映画『Fukushima 50』をどう見たか 菅直人インタビュー【2】 「安倍さんは東電の認識を真実だと思い込んだ」






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1.事故対応3つのなぜ ※制作中
(1)なぜ福島第一原発にヘリで飛んだか(3月12日)
<ポイント>
東電が申し出た格納容器のベントが実行されず、東電担当者が理由を即答できないなど、現場の様子が分からなかったからです。
吉田所長は「停電で手動ベントのため高線量で作業に時間がかかる」と述べ、「決死隊を作ってやります」と答えました。
現場を仕切る人物を見極められたのは最大の収穫でした。

(2)「海水注入」の真相(3月12日)
<ポイント>
そもそも海水注入は3月12日19時4分に始まりましたが、私にその報告はなく「待て」「止めろ」と言うはずがありません。
武黒フェローが吉田所長に海水注入中と告げられ「総理の了解が取れてないので待ってくれ」と言い、本店も中断を指示したのです。
だが所長は指示に従うふりをして注水を続けました。

(3)なぜ東電本店に乗り込んだか(3月15日)
<ポイント>
3月15日3時頃に海江田・枝野両大臣から「清水社長が原発からの撤退を申し出ている」と伝えられました。撤退すれば大量の放射性物質が拡散して東日本は壊滅します。
私は4時過ぎに呼んだ社長に「撤退なんてあり得ませんよ」と告げ、「統合対策本部を作りたい」「すぐ本店に行きたい」と求めたのです。

最後に、あの日、私が何を語ったか、ご紹介します。
「今回の事故の重大性は皆さんが一番分かっていると思う。政府と東電がリアルタイムで対策を打つ必要がある。私が本部長、海江田大臣と清水社長が副本部長ということになった。これは2号機だけの話ではない。2号機を放棄すれば、1号機、3号機、4号機から6号機、さらには福島第二のサイト、これらはどうなってしまうのか。これらを放棄した場合、何か月後かには、すべての原発、核廃棄物が崩壊して放射能を発することになる。チェルノブイリの2倍から3倍のものが10基、20基と合わさる。日本の国が成立しなくなる。
何としても、命懸けで、この状況を抑え込まない限りは、撤退して黙って見過ごすことはできない。そんなことをすれば、外国が『自分たちがやる』と言い出しかねない。皆さんは当事者です。命を懸けてください。逃げても逃げ切れない。情報伝達は遅いし、不正確だ。しかも間違っている。皆さん、萎縮しないでくれ。必要な情報を上げてくれ。目の前のこととともに、10時間先、1日先、1週間先を読み、行動することが大切だ。
金がいくらかかっても構わない。東電がやるしかない。日本がつぶれるかもしれない時に撤退はあり得ない。会長、社長も覚悟を決めてくれ。60歳以上が現地へ行けばいい。自分はその覚悟でやる。撤退はあり得ない。撤退したら、東電は必ずつぶれる。」

2.ほとんどは事故発生前に原因がある
(1)高さ35メートルを10メートルに
(2)原子力安全・保安院長が経済学部卒
(3)オフサイトセンターが機能せず
複合災害を未想定・3月15日移転

3.情報伝達をめぐる3種類のパターン
(1)現場も誤解(水位計)
(2)現場と官邸のギャップ(ベント)
(3)東電の隠ぺい(テレビ会議・政府事故調調書)

4.原発ゼロの決意
(1)「原発の安全神話」に染まっていた反省
(2)自然災害と原子力災害の違い
(3)「神のご加護」4号機プール
(4)半径250km・5千万人避難の「最悪のシナリオ」(3月25日)

5.事故後の民主党政権の取り組み
(1)菅政権
「東電免責せず」表明(2011年4月29日)
浜岡原発停止要請(2011年5月6日)
原発比率50%超とした「エネルギー基本計画」白紙撤回表明(2011年5月10日)
「原発に依存しない社会をめざす」と表明(2011年7月13日)
再生可能エネルギーの固定価格買取り制度(FIT)法成立(2011年8月26日)
(2)野田政権
「40年廃炉厳格適用」「新増設しない」「2030年代に稼働ゼロ」を決定(2012年9月14日)
経産省から保安院を切り離し、独立した原子力規制委員会を創設(2012年9月19日)

6.現在
(1)原発の現状
事故当時の54基と建設中まで含む60基のうち、廃炉決定済24基、再稼働9基、設置変更許可済6基、審査中12基、未申請9基。
(2)立憲民主党結成と原発ゼロ基本法案提出
(3)電力会社の債務超過問題と「全原発国有化廃炉法案」



元首相は映画『Fukushima 50』をどう見たか 菅直人インタビュー【2】

ほとんどの人が「原発なしでやっていけるなら、原発はいらない」と考えているはずだ

中川右介 編集者、作家

2020年03月12日

https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020031000008.html?page=2


https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020031000008.html?page=3


・・・

「私は一言も海水注入を止めろとは言っていない」

――そういう背景がわからないので、脱原発の立場からは、「浜岡以外も止めると言わないのはおかしい」との批判もありましたが、「浜岡以外は稼働させる」と表明できなかったことで、経産省の筋書きが狂い、こんな総理では大変なことになると、「菅おろし」が始まるわけですね。

 最初の攻撃として、映画『Fukushima 50』にも出てくる海水注入をめぐる問題があります。当時は野党の一議員だった安倍晋三氏が5月20日夜、「菅総理が海水注入を止めたので事故が拡大した、辞任すべきだ」という主旨のメルマガを公開しました。

 海水注入問題は、事故から2日目の3月12日の出来事です。朝、ヘリで福島へ行き、午後3時36分に1号機の建屋が水素爆発しました。その夕方のことです。消防車を使って冷却するための注水をしていたのですが、真水がなくなり、海水を使うしかないとなりました。

 海水には塩分が含まれますので、できれば使いたくないわけですが、そんなことを言っている場合ではない。官邸で私や海江田大臣、原子力安全委員会の斑目委員長、東電の武黒フェロー、保安院などと18時頃から協議して、海水注入することで意見は一致していました。

 海水注入を始めるまでどれくらい準備にかかるのかと訊くと、武黒フェローが「2時間くらい」と言うので、「それまでの間に、塩の影響や、再臨界の危険などについても検討しておいてください」と言って、私はその会議から離れました。

 私はひとことも、「海水注入は待て」とか「止めろ」とは言っていないわけです。それを武黒さんが何を忖度したのか、勘違いしたのか、吉田所長に「待つ」ように電話をしたようです。ところが、すでにその時は海水注入は始まっていたわけです。後で知ったのですが、19時04分に始まっています。

――映画では海水注入が始まったすぐ後に、官邸にいるフェローから吉田所長に電話があり、「官邸がゴチャゴチャ言っているから、止めろ」と言い、吉田所長と言い合いになるシーンがあります。吉田所長は、本店からも止めろと命令があるのを予測し、現場の職員に、「本店から海水注入を止めろと指示あるかもしれない。俺はそれに従うふりをして、止めろと命令するが、絶対に止めるなよ」と指示します。その予想通り、本店から中止命令が来て、吉田所長はそれに従い、中止を指示しますが、実は止めていなかった。

 私は、武黒フェローが吉田所長と話したことも、本店がどう指示したかも、何も知りません。19時40分を過ぎた頃、海水注入についての協議が再開し、55分に、注入するよう指示しました。

――19時55分の時点では、菅さんを含めた官邸の政治家は海水注入は「始まっていない」と認識していた。東電本店と武黒フェローは、いったん始まった海水注入は、命令により中止されていると思っていた。しかし、実際には19時04分に始まり、東電本店から中止するよう命令されたが、吉田所長は命令に従ったふりをしただけで、海水注入は継続していた。このように三つの「事実」がありました。真実は、最後の「海水注入は19時04に始まり、中止命令が出たが、継続した」です。

 そのとおりです。さらにいえば、もうメルトダウンは始まっていたので、海水注入の遅れが原因でメルトダウンしたわけでもないんです。

「安倍さんは東電の認識を真実だと思い込んだ」

 安倍さんは、東電本店が認識していた「事実」を、真実だと思い込み、「菅首相が、海水注入を中止するよう命令したため、作業が遅れ、被害が拡大した」とメルマガに書きました。安倍さんのメルマガは5月20日の夜に公開され、21日の読売新聞と産経新聞も同じ内容のことを大々的に報じました。

 報道を見て驚きましたよ。私の認識では「19時55分に海水注入をするよう指示した」であり、一度も、「中止しろ」なんて言った覚えがないわけですから。騙されていたとは言いませんが、私たち官邸も、すでに始まっていることを知らされずに、協議していたわけです。始まっていないという認識なんですから、「中止しろ」と言うはずがない。

 

 この報道の後、吉田所長は、「本店から中止するように言われたので、中止するふりをしたが、実際は中止しなかった」という旨の発言をしています。実は、その時まで、東電本店は中止されたと思い込んでいたんです。

 安倍さんの情報源が東電、あるいは東電から聞いた経産省の誰かであることは、明らかです。同じ情報源が各マスコミにも、菅首相の決定的なミスだとして持ち込んだのですが、裏が取れないとして、書きませんでした。書いたのは、読売新聞と産経新聞だけです。

――この件で、菅さんが名誉毀損だとして安倍首相を民事で訴えましたが、敗訴しました。だから、安倍さんが書いた内容は正しいと思い込んでいる人がいます。

 裁判では、「安倍さんが書いた内容は間違っていた」と認定されています。つまり、私が海水注入を中止させた事実はないと、裁判所も認めています。ただ、当時は安倍さんは野党議員でしたから、野党議員が首相を批判するために書いたものなので、名誉毀損には当たらないということで、私の損害賠償請求は退けられたわけです。安倍さんも、内容が間違いだったことは認め、裁判の途中で、メルマガのその回を消しています。読売、産経は誤報だったとの訂正記事をいまだに、出していません。

――『Fukushima 50』には読売、産経も出資していますね。さすがに映画では、総理が中止命令を出すようなシーンは創作されていませんが、「官邸がゴチャゴチャ言っている」とのフェローのセリフがあるので、映画を見た方のなかには誤解する人もいるかもしれません。この安倍さんのメルマガが5月20日で、菅さんは25日から29日まで、サミットのためフランスへ行かれました。

 サミットの前に、パリでOECDの50周年記念行事があり、そこでのスピーチで、「発電総力に占める再生可能エネルギーの割合を、2020年代のできるだけ早い時期に、少なくとも、20%を超える水準とする」との目標を表明しました。私は3月末には、原発はとても人間の手には負えない、ゼロにしなければならないと考えていました。そのため、原発にかなり依存していたエネルギー基本計画を白紙に戻す必要があると表明するなど、少しずつ脱原発へと舵を切っていたのです。

 フランスにいる間も、日本からの連絡で、自民党が不信任案を出そうとしていることは知っていました。そのうち、民主党の小沢さんも同調する動きを始めました。


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