ロジャー・エイルズ
©Jake Chessum Supervision

米FOXニュース(Fox News)の元最高経営責任者(CEO)、故ロジャー・エイルズ(Roger Ailes)のドキュメンタリー映画『分断と征服:ストーリー・オブ・ロジャー・エイルズ』(原題)(Divide and Conquer: The Story of Roger Ailes)が14日全米で公開された。

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全米14館で公開された同作品は、オープニンング週末(金、土)の興行成績がわずか12,431ドル(約140万円)という低い数字でスタートを切った。

ハリウッドレポーターによるComscoreのデータによると、最も興収が高かったのは、マンハッタンの映画館ランドマーク(The Landmark)で2,990ドル(34万円)、次いでロサンゼルスのランドマークヌアートで1,908ドル(21.5万円)を記録。同作品はamazonなどのビデオオンデマンド(VOD)でも同時公開された。

製作は、エーアンドイーインディーフォルムズ(A&E IndieFilms)、配給はマグノリア・フィルムズ(Magnolia Films)。プロデューサーはAlex Gibneyが、監督はアレクシス・ブルーム(Alexis Bloom)が務めた。

マグノリア・フィルムズは今年米国で公開され、大ヒットしたルース・ギンズバーグ(Ruth Bader Ginsberg)最高裁判事のドキュメンタリー映画『RBG』の配給も手がけている。『RBG』は1,400万ドル()の興行収入を記録したが、同作品はすぐにVODで公開されなかった。

Divide and Conquer: The Story of Roger Ailes予告編

ロジャー・エイルズとは

米中西部オハイオ出身のメディアコンサルタントで、ニューズ・コーポレーションのルパート・マードック(Rupert Murdoch)と共に、保守系メディアのFOXニュースを米国の一大メディアに築き上げた。

THE HILLによると、FOXニュースは2001年以来、203ヶ月連続トップの視聴率を獲得しており、ベーシックケーブルチャンネルでも29ヶ月連続で最多の視聴者数を誇る。

ロジャー・エイルズは、キャスターのグレッチェン・カールソン(Gretchen Carlson)やメーガン・ケリー(Megyn Kelly)など少なくとも20人の女性からセクハラ被害を訴えられ、疑惑は否定しながらも、2016年7月にCEOを辞任。翌年2017年10月、77歳で死去した。

歴代共和党大統領の立役者の素顔に迫るドキュメンタリー

フィラデルフィア州の人気トーク番組「The Mike Douglas Show」のプロデューサーから、ニクソンやレーガン、ジョージ・H・W・ブッシュまで歴代共和党大統領のメディア・アドバイザーを務めてきた。
1996年、ルパート・マードックによってFOXニュースCEOに抜擢される。トランプ大統領の誕生と、セクハラ疑惑による辞任までを描く。

作品ではキャリアだけでなく、過去の同僚や友人らの証言を元に、パーソナリティにもスポットが当てられた。
血友病を患っており、非常に疑り深い人物だったという。監視カメラや防弾ガラスでオフィスの部屋を囲い、護衛用の銃をデスクに忍ばせるほどのパラノイアだったことも明かされる。
セクハラ訴訟の際、危機管理会社の担当者が和解を勧めたが、ロジャー・エイルズの妻は「ロジャーは、アメリカよりも重要な人物だ。あなた方はこれを理解した方が良い。」と怒って和解を拒否したというエピソードも語られる。

キャスターのスカートを短くしてテレビに登場させたり、陰謀論をメインストリームメディアで紹介したりしたことでも話題となった。
なお、同作品はFOXニュースからの取材協力は得られなかったという。

批評家の評判は?

ロッテントマト(RottenTomato)によると、CNNやNYタイムズ、LAタイムズ、ワシントンポスト、VOXなどリベラル系メディアによる作品の評価は高く、90%を獲得している。

「バーチャル王国の如く、20年間も経営されてきたエンタープライズのパワーを理解するのに観る価値がある。」(CNN)
「彼の無慈悲さを目撃した同僚らの証言を通じて、信ぴょう性のあるエイルズの心理描写を伝えている。」(NYタイムズ)
「この作品は、国家の分断した両側の人々に有用な教訓と、どうやって、このひどい場所にたどり着いたのか、しかし、まだ元に戻れない訳ではないと、わずかな期待を与えてくれる。」(ワシントンポスト)

映画やテレビシリーズも

ロジャー・エイルズに関しては、この他に2作品の製作が進行している。

『ミート・ザ・ペアレンツ』のジェイ・ローチ(Jay Roach)がプロデュース・監督を務める映画「Fair and Balanced」は、エミー賞受賞俳優のジョン・リスゴー(John Lithgow)がエイルズ役で登場する。セクハラ被害を訴えた女性らに焦点を当てた内容で、ニコール・キッドマン(グレッチェン・カールソン役)やシャーリーズ・セロン(メーガン・ケリー役)、マーゴット・ロビーなど大物俳優がキャスティングされている。

また、オスカー受賞俳優のラッセル・クロウ(Russell Crowe)もエイルズ役を演じる。作品は、ガブリエル・シャーマン(Gabriel Sherman)氏の著書「ラウデスト・ボイス・イン・ザ・ルーム」(The Loudest Voice in the Room)を脚色したドラマシリーズで、2019年に放送開始を予定している。