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“社内日報で民族差別”賠償命令

“社内日報で民族差別”賠償命令

東証1部に上場する大阪の住宅会社の在日韓国人の女性従業員が、社内で人種や民族を差別する言葉が書かれた資料を繰り返し配られ精神的な苦痛を受けたと訴えた裁判で、大阪地方裁判所堺支部は、「社会的に許容できる限度を超え違法だ」として、110万円の賠償を会社側に命じました。

この裁判は大阪・岸和田市に本社がある住宅会社、「フジ住宅」で8年ほど前から「中国、韓国の国民性は大嫌いです」とか「韓国人は嘘をつく国民性」などと記述された業務日報などが会長名で繰り返し配られたことに対し、パート従業員の50代の在日韓国人の女性が精神的な苦痛を受けたとして、3300万円の賠償を求めたものです。
裁判で会社側は「意見や論評の表明で差別的な表現ではない」などと争っていました。
2日の判決で、大阪地方裁判所堺支部の中垣内健治 裁判長は、人種や民族への差別を助長する表現だと判断したうえで「国籍によって差別を受けない労働者としての人格的利益を侵害するおそれがあり、社会的に許容できる限度を超え違法だ」と指摘し、会社側に110万円の賠償を命じました。
判決後に会見した原告の女性は、「心の痛みをくみ取ってもらえた判決でよかった。会社には変わってほしい」と話していました。
一方、フジ住宅は「企業における社員教育の裁量や経営者の言論の自由の観点から、到底承服し難い判決だ。すみやかに控訴し、適正な判断をあおぎたい」というコメントを出しました。

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山口二郎[寄稿]差別との戦い

[寄稿]差別との戦い

登録:2020-06-14 18:20 修正:2020-06-14 21:37 http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/36938.html
NHK放送画面キャプチャー/ハンギョレ新聞社

 アメリカ、ミネソタ州で警察官が黒人男性、ジョージ・フロイド氏の首を膝で押さえつけ死なせた事件は、予想外の反響を呼んでいる。事件から半月以上たった今でも、アメリカのみならずヨーロッパやオーストラリアなど多くの国で抗議行動が続いている。新型コロナウイルスによって人間の生命が脅かされる状況の中、黒人であるというだけで虫けら同然に扱われて命を落としたという不正義を見て、良識ある人々の怒りが沸き上がった。

 日本のニュースでもこの事件は取り上げられた。しかし、残念ながら、この事件は差別を許さないという決意を日本人が再確認する機会ではなく、日本社会が差別を放置していることを示すきっかけとなった。

 たとえばNHKの国際問題に関する解説番組で、黒人の抗議行動の背景を説明すると称して作られたアニメーションが余りに問題の本質を理解せず、黒人に関する先入観を助長すると批判を浴びた。この番組に関する毎日新聞の記事を引用する。

 動画では、白いタンクトップ姿で筋肉質の黒人男性が登場。「俺たちが怒る背景には、俺たち黒人と白人の貧富の格差があるんだ」と話す。白人の資産平均が黒人の7倍であることや、新型コロナウイルスの影響による失業などで黒人が打撃を受けたことを挙げ、「こんな怒りがあちこちで噴き出した」としている。背景の路上で拳を振り上げる複数のキャラクターもすべて黒い肌の人として描かれている。(毎日新聞6月9日)

 経済格差が存在することは事実だが、今回の抗議運動が訴えているのは黒人の生命と尊厳を等しく尊重せよという主張である。それには多くの他人種の人々も賛同している。社会正義の問題が黒人の不満に置き換えられている点で、この番組は報道の名に値しない。ジョセフ・M・ヤング駐日米臨時代理大使は「使われたアニメは侮辱的で無神経です」と抗議し、NHKも謝罪した。日本のジャーナリズムの質が問われている。

 人種差別は日本ではよそ事のように受け止められている。しかし、この機会に日本社会における差別について再認識し、差別を解消する努力を進めなければならない。最近気になる事例を紹介したい。それは、1923年9月1日に起こった関東大震災の際の朝鮮人虐殺の犠牲者を追悼する運動をめぐる小池百合子東京都知事の対応である。毎年この日に、有志団体が慰霊碑のある公園で犠牲者を追悼する式典を開いてきた。歴代の知事はこれに追悼文を寄せてきたが、小池知事は2017年以来送っていない。昨年は、犠牲者全体を追悼したので、特に朝鮮人について別のメッセージを出さないと述べた。また、今年の式典について、虐殺そのものを否定する極右団体が近くで慰霊祭と称するヘイトスピーチ宣伝のイベントを予定していることから、追悼式典実行委員会と極右団体の両方に混乱を起こさないという誓約書の提出を求め、それがなければ公園の使用を許可しないと通告してきた。

 小池知事のこの論法は、アメリカにおけるBlack lives matterを嘲笑するためにAll lives matter(すべての人間の命が大事)と叫んだ白人の言い分を想起させる。すべての人間の生命を大事にするという理念を誠実に追求し、黒人のみならず差別されている少数者の権利尊重のために努力するなら、All lives matterというスローガンにも意味はある。しかし、実際には差別したい白人が、黒人の命が大事だという主張を否定するために、黒人が殺害されたという事実から目を背け、すべての命が大事だと、自ら信じてもいない一般論を唱えるのである。小池知事も、虐殺の犠牲者を追悼したいのではなく、それを避けるためにすべての犠牲者の追悼という理屈に逃げている。

 差別を反省し、人間の尊厳を訴える主張と、他民族を差別するヘイトスピーチを同列に並べ、両者に言論のルールを守れと要求することは、一見中立的に見えて、実は極めて不公平である。差別を許さないのはあらゆる言論の前提である。差別をまき散らす言論に対しては、民主主義の政治家は、絶対に支持しないという強いメッセージを送るべきである。

 小池都知事は7月の選挙で再選される勢いである。しかし、人気政治家が差別についてあいまいな態度を取ることによって、日本社会に差別の害毒が広がっていく。アメリカの事件は日本にとっても他人事ではない。

山口二郎・法政大学法学科教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/949264.html韓国語原文入力:2020-06-14 16:34
//ハンギョレ新聞社

日本で、黒人を支援する平和的なデモ行進が実施予定

6月 09, 2020 20:27 Asia/Tokyo
  • https://parstoday.com/ja/news/japan-i62545日本で、黒人を支援する平和的なデモ行進が実施予定
    日本で、黒人を支援する平和的なデモ行進が実施予定

6月14日に東京で、スローガン「ブラック・ライブズ・マター(黒人の生命は大事だ)」を掲げた、黒人を支援する平和的なデモ行進が予定されています。

このニュースは、今回のデモを呼びかける団体Black Lives Matter Tokyoがサイトで発表したものです。

この発表によれば、今回のデモは代々木イベントプラザで開始されるということです。

もっとも、BLMTは、新型コロナウイルス感染リスクがある場合、行動には参加しないよう要請するとともに、感染の疑いが生じた場合、参加後2週間の自己隔離を呼びかけています。

またこの行動の目的として、日本での黒人に関する認識の転換を挙げており、サイトでは、「日本に根強く現存する黒人やマイノリティーに対する偏見は間違いであり、時代遅れ」と強調しています。

ガラパゴスには人が住んでいる

ガラパゴス化の岐路か コロナ禍に考えるhttps://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2020042802000111.html

 十六世紀、スペイン人司教が発見した南米の孤島ガラパゴスでは独特の生態系が営まれています。バブル崩壊後、内需を意識して独自商品を生み続けた日本経済はこの島にちなんで「ガラパゴス化した」と揶揄(やゆ)されました。

 日銀が前代未聞の政策を打ち出しました。上限なく国債を買い入れて資金を流しコロナ禍に苦しむ経済を救おうというのです。

 これだけ異例の措置に踏み切る場合、米欧の中央銀行と緊密に連携するのが常識です。しかし、その気配は感じません。経済の国際協調は崩れ世界はガラパゴス色を強めていくのでしょうか。

グローバル化の加速

 ウィーンの名物カフェ「モーツァルト」はペスト記念碑から歩いて十数分の場所にあります。二十年前ウィーンフィルの元バイオリン奏者、ハンス・ノバク氏は店内で大指揮者カラヤンについて「偉大だが意地悪だった。ギリシャ系でオーストリアの血は入っていないはずだ」と語りました。

 旧ハプスブルク家が支配した領土の出身者以外同フィルに入団できない。ノバク氏もウィーンの人であり、私自身この説を信じ込んでいました。

 しかし調べてみると現実は違った。オーストラリア、カナダ、デンマーク…。団員は各国から集まっていました。名声はグローバルな血で支えられていたのです。同フィルと名演を繰り広げたカラヤンもその一員といえるかもしれません。

 グローバリズムの歴史は古い。ただその間、分野ごとで波の大小に違いがありました。

 一九八〇年前後を境にグローバルの大波が経済の分野に向かいました。英国のサッチャー首相が伝統の殻を破り外国資本を受け入れました。呼応するように世界の大企業が国外進出を加速させた。

見えない敵による侵食

 次の主役は金融資本でした。巨額マネーが渦を巻きIMF(国際通貨基金)危機のように国家まで財政破綻の淵に追い込みました。リーマン・ショックで危機が収まると巨大IT企業の時代に移りました。だが-。

 ウイルスという見えない敵がグローバル経済を侵食し始めています。国境を越えた人やモノの往来はウイルスの感染防止にはリスクでしかありません。

 当面、先進国の経営者たちは海外進出に二の足を踏み、国外拠点を自国に戻す動きを強めるでしょう。商品は普遍性を失い、独特な個性を持つガラパゴス風なものに変容する可能性があります。

 アジア太平洋経済協力会議(APEC)といった国際協力の枠組みもいったん低調になる。外国との経済関係を最小限にとどめた巣ごもり型経済が一定期間主流になっていくのは確実に思えます。

 ただ中国という変数もあります。「一帯一路」と名付けた国際進出への意欲は衰えていません。

 セルビアのブチッチ大統領は「欧州の連帯はおとぎ話だった。助けてくれるのは中国だけだ」と言い切っています。中国依存を強める国は確実に増えています。

 中国への敵意も勢いを増しています。十五世紀前半ペスト禍が収まったウィーンでユダヤ人差別が起きました。不安が人種差別を引き起こしたのです。この二の舞いは避けなければなりません。

 巨大IT企業の動きも留意すべきでしょう。人工知能(AI)を駆使し、人との接触が必要ないサービスを生み出す可能性があります。それは利便性の向上に役立つかもしれない。しかし彼らが膨大な個人情報を集積している以上、制御は絶対に必要です。

 厚生労働省によると、国内の感染症病床は一九九五年の九千九百七十四床から一昨年には千八百八十二床に減少。グローバル化の中で利潤が優先され、もうけにならない万が一の準備を避ける傾向が医療にも影響を与えたとの推論は成り立つ。そうなら今回の試練は必要だったものを取り返す契機とすべきではないでしょうか。

 今後、米国の資本力は弱まり、一層内向きになるでしょう。中国は世界の工場だった時代を終え、米国に代わる存在として野心を強めるはずです。欧州では欧州連合(EU)への信頼が薄れ、ギルドのように排他的な商工組合型経済域が生まれるかもしれません。

次の選択が未来決める

 日本経済も岐路に立たされます。貿易を抑制し自立経済を目指せとの声は出るでしょう。

 ただ医療を中心に世界が手を取り合っているのは事実です。各国との協力関係の上に日本経済が成長してきたことも間違いない。

 内向きになる中、まずは失ったものを取り返し、その先に国際協調を蘇(よみがえ)らせる必要がある。そのための政治体制をどう築くのか。次の選択こそがこの国の未来を決めるのだと肝に銘じています。



■連載 差別表現 小林健治
第3回 「穢多非人」=「二級市民」とは
http://rensai.ningenshuppan.com/?eid=102
①<穢多非人>
 (財)東京都人権啓発センターが発行している、<人権プラザ便り[結い]> に、「ツイッターにおける差別書き込みを指弾するも…」との見出しのもと、以下のような内容の「人権相談」が載っている。

 40才代の男性Yさんが
去る4月17日、昨今流行中のネットサービスのツイッターにて、「インターネットメディアでは影響力のある」Tという男による「ソーシャルネットワーク見て、今や、コードが書けない奴はネット企業じゃ、穢多非人なんだな、と思った感覚と近いことが話されている」との差別書き込みを見つけ、「差別的かつ非常識な書き込みでしたので、私を含む何人かが、そのことを指摘したものの直されぬまま時が経過。腹立たしく思った私が画像化し、ある人権団体に送付しました。そのことを指摘すると、『先ほど、不適切な発言があったようなので、ご指摘に基づき、言い換えました』……。しかし、それは『穢多非人』を『二級市民』と言い換えるという、新たな差別書き込みだった」。「ネットメディアの将来を危惧する一人として、彼に問題の文章を削除し、不快な書き込みをしたことを公に謝罪するよう求めましたが、改善されません」。そこで、Yさんは、直接Tが所属する会社に連絡して抗議するも、「まったく誠意が見られぬ対応に疲弊するばかりでした」といいます。ツイッター上では、「余計なことをするな、お前が差別主義者だ」「お前のような人間の行動が差別意識を拡大する」「寝た子を起こすな」等と誹謗中傷の言葉を浴びせられ、Yさん自身が精神的に疲れてしまう状況にあり、とても気がかりです。
とある。

 インターネットで調べたところ、このTは田端信太郎という人物で、リクルートを振り出しに、ライブドアの執行役員などを務め、現在、アメリカのファッション誌関係の出版社・コンデナストデジタル(Conde Nast Digital)日本支社の、カントリーマネージャーということらしい。Yさんは、英文で、アメリカ本社に抗議文を送付しているが、誠意がないと引用文の中でもふれている。今どきあまり見かけない差別表現だが、(インターネット上ではそうでもないが)これが単に私的なツイッターではなく「ソーシャルメディアマーケティング」の道具として、宣伝目的で利用していた点で、より重大な問題と言わざるを得ない。

「穢多・非人」という言葉が差別語だからという理由で、「士農工商○○」という婉曲的な差別表現事例が、1980年代~2000年にかけて頻発したが、これは「コードが書けない奴」を直接「穢多・非人」と同じだと、比喩的に表現した、度し難い差別表現と言わざるを得ない。

 しかも、問題点を指摘されたものの居直り、Yさんが“ある人権団体”に連絡をとったことを知るに到り、しぶしぶ言い換えた言葉が『二級市民』とは、何をかいわんやだ。

 Yさんの抗議と、差別表現問題に取り組む姿勢に敬意を表するとともに、外資系ではめずらしく、差別・人権問題に鈍感なコンデナストデジタル社の動向を注視したい。

 Yさんの抗議文の全文は下記の通り。
 http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1161213651

②<ガラパゴス>
 6月29日、東京電力福島第一原発事故に対する経団連の対応に不満を持ち、退会を表明していた楽天の三木谷浩治社長が、記者会見で経団連を批判する流れの中で次のように述べている。
「ガラパゴス日本と言われているが、電力政策だけでなく、コーポレート・ガバナンスや会計制度などを国際的な基準に合わせていかないと、この国は食べていけない。それとは方向性が違うと感じた」
 否定的な意味で、「○○は日本のチベット」とか、「日本の携帯業界はガラパゴス化している」といった表現の一つで、当事者である「チベット」や「ガラパゴス」で暮らす人々の生活と感情を無視ないし、軽視した失礼な発言と言わざるを得ない。

 一体誰が「ガラパゴス日本」と言っているのか、もしこれが事実なら、三木谷氏はまずもって、そう発言している人なり組織に、その意味するところの差別性を論難すべきであろう。経団連の旧態依然とした体質を批判するのは良いが

札幌の秀才中学生は、なぜ料理人を目指したか  進路指導の教員は「アイヌは受験させない」と言った

札幌の秀才中学生は、なぜ料理人を目指したか

 進路指導の教員は「アイヌは受験させない」と言った


©株式会社全国新聞ネット

今博明さん

 店内に入ると、昆布の香ばしい香りが漂っていた。観光名所の「札幌市時計台」からほど近いアイヌ料理専門店「ケラピリカ」。アイヌ語で「おいしい」という意味だ。エゾシカのサッカム(干し肉)、サケのサッチェプ(薫製)、キトピロ(ギョウジャニンニク)の漬けもの。昆布の香りの出元は、具だくさんの汁物「オハウ」だ。自然の食材を優しい味付けで整えた民族の家庭料理がテーブルに並ぶ。伝統楽器ムックリのビョン、ビョーンという幽玄な音色も相まって食欲をそそる。

 店主はアイヌ民族にルーツを持つ今博明さん(52)。23年腕を磨いた大阪を離れ、昨年、店を開いた。「国内唯一のプロのアイヌ料理人」と胸を張る今さんがこの道を選んだのは、すさまじい差別を受けたことがきっかけだった―。(共同通信=大日方航)

 「アイヌは受験させないよ」。1983(昭和58)年、夏のある昼すぎ、札幌市内の市立中学校の狭い進路指導室だった。学習机を挟んだ向こうで進路指導の教員が放った一言。36年以上がたった今も忘れることはない。

 怒りも湧いてこなかった。ただぼうぜんとした。口を突いて出たのは「へぇ、そうなんや」。小学校時代を過ごした大阪で身に付いた関西弁だった。年上に敬語を使わなかったのは、後にも先にもこの時だけだ。

 勉強が大好きで、朝3時ごろまで机に向かうのが当たり前だった今さんの志望校は、北海道有数の進学校「函館ラ・サール」だった。模試の理数系科目は北海道で10位以内。学習塾では「体調を崩さなければまず受かる」と太鼓判を押されていた。

 だが、アイヌであるというただそのことだけで、願書すら出せなかった。

 あきらめが全身を襲い、学校への不信感が募る。受験勉強への意欲を失い、入試前日まで徹夜でマージャンに明け暮れた。「ばか校」と自嘲する高校に入学したものの、生活は漫然と過ぎていった。大学進学はせず、学歴に頼らない職に就こうと思っていたとき、父の勧めもあり、調理師になることを決めた。

 卒業後、親元を離れ大阪へ。調理師専門学校を出た後、東京と大阪のイタリア料理店を経て本場イタリアで1年修業、96年には大阪で自分の店を開いた。27歳の若さだった。

アイヌ料理専門店「ケラピリカ」を開いた今博明さん=札幌市

 「アイヌの踊りや歌を継承する人はいても、食を継承する人がいない」。あるときアイヌの友人に言われたことが刺激になった。約10年後、店でアイヌ料理を出し始めた。当初は色モノとして扱われた。が、人気漫画「ゴールデンカムイ」の影響で、徐々に料理を目当てに訪れる人が増え、評判も高まっていった。

 母ミエコさん(74)は、アイヌ料理を提供していることを告げると、普段見せたことのない涙を流した。「ありがとう」。アイヌである母の涙の理由は、差別された過去だった。

 「アイヌ」と聞くだけで動悸(どうき)が激しくなるミエコさんの右頰には、幼いころ鉛筆で刺されたいじめの痕がある。今さんは「おかんは中学を卒業するとすぐに家を出て美容師になった。ひどい差別を受け続けてきたのだと思う」とおもんぱかった。

 大阪で腕を磨きながらも、自らが育った札幌市にアイヌ料理専門店が少ないことがずっと気になっていた。「俺がやるしかない」。心を決めた。

 長年募らせていた望郷の念もあった。昨年5月末、札幌市に店を移すと、北海道のアイヌも通ってくれるようになった。3月末にはいったん店を閉め、札幌市内で店を移転予定だが、引き続きアイヌ料理を提供する。

アイヌ料理を前にする今博明さん

 教員のあの一言は人生を暗転させた。でも、あの日があったから今の自分があるとも思う。「ショックだったけど、おかげで自分らしい人生が送れている」

 「ラーメン、焼き肉、それともオハウ?」。アイヌ料理が当たり前の選択肢になる未来をつくろうと、今さんは日々腕を振るっている。

 ▽一口メモ「アイヌ料理」

 狩猟や採取などで得た肉や魚、山菜や海藻を用いた料理。オハウを主食に、煮物やあえ物、刺し身やたたきを食べる。素材の味を生かし、調味料には塩のほか、魚や獣の脂肪も使う。サケは特に大切な食糧で「カムイチェプ(神の魚)」「シペ(本当の食べ物)」と呼び、乾燥貯蔵して余すところなくいろいろな料理に用いる。

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